先に結論:グリソン鞘の異常(periportal collar)
- グリソン鞘(読み方:ぐりそんしょう、英語:Glisson’s sheath)は、肝門から肝臓の中へ、門脈の枝に沿って木の枝のように広がる結合組織の鞘です
- グリソン鞘は門脈・肝動脈・胆管・リンパ管を包む線維の鞘で、ここにむくみ・炎症・リンパ液のうっ滞・腫瘍の浸潤が起こると、CTで門脈の周りの低吸収(periportal collar)、MRIのT2強調像で高信号の帯として見えます
- 原因は心不全・大量輸液・肝炎・肝移植後・外傷・胆管炎・リンパ腫や癌の浸潤などさまざまです
- 造影される場合は炎症や腫瘍の浸潤を、造影されない場合はむくみやリンパ液のうっ滞を考えます
グリソン鞘とは?どこにある?
グリソン鞘は、肝臓の表面を包む被膜(グリソン被膜)が肝門部から肝臓の中へ入り込み、並んで走る門脈・肝動脈・胆管をひとまとめに包んだものです。枝分かれしながら末梢まで続き、顕微鏡では門脈域(portal tract)として見えます。
- 名前は英国の医師グリソン(Francis Glisson)に由来します。
- 肝静脈はグリソン鞘に包まれず、別に走ります。
- 正常ではグリソン鞘は薄く、CTやMRIではほとんど目立ちません。
グリソン鞘の異常と画像(periportal collar、periportal abnormal intensity)
・肝グリソン鞘は、肝動脈、門脈、神経、胆管とリンパ管を包む線維鞘。
・腫瘍や炎症の進展に重要な役割を果たしている。
・グリソン鞘には種々の疾患で浮腫(あるいは水腫)、炎症細胞浸潤、腫瘍細胞浸潤、リンパ液のうっ滞などが起こる。
・これらはCTでは門脈周囲低吸収域(periportal hypodensity、periportal collar)として描出される。
・外傷患者の造影CTでは、重症外傷(ISS 16以上)の38.6%、軽症外傷の14.3%に門脈周囲浮腫がみられ、肝損傷がない例でも認められる。CT前の輸液量が多い例に多いとの報告もあり、外傷では肝損傷のサインと決めつけず、輸液負荷や静脈うっ滞も考える。
・MRIはこれらの描出により鋭敏で、特にT2強調画像で門脈を取り囲む高信号帯 (periportal abnormal intensity:PAI)として描出される。T1強調画像では低信号帯として描出される場合が多いが、門脈や胆管が低信号であるためわかりにくい。
・炎症性変化や腫瘍細胞浸潤では造影CTやMRIで造影される。・肝移植後のperiportal collarは急性拒絶反応のサインとして報告されたが、その後の検討では拒絶反応の指標としての信頼性は高くないとされている。

グリソン鞘でよくある疑問(Q&A)
Q. グリソン鞘の読み方は?
A. 「ぐりそんしょう」です。「鞘(しょう)」は刀のさやのように包むものを指します。
Q. periportal collarと胆管拡張はどう見分けますか?
A. 胆管拡張は門脈の片側に沿う管状の低吸収で、periportal collarは門脈を全周性に取り囲むのが特徴です。
参考文献
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- Wechsler RJ, Munoz SJ, Needleman L, et al. The periportal collar: a CT sign of liver transplant rejection. Radiology. 1987;165(1):57-60. PubMed
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- Kuhlemann J, Loegters T, Roehlen S, et al. Periportal edema in trauma patients: correlation with trauma severity. Acta Radiol. 2011;52(4):360-3. PubMed
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