
手の骨は、手首の手根骨8個・手のひらの中手骨5本・指骨14本の、片手27個でできています(豆状骨以外の種子骨は数えない)。研修医のハジメくんと一緒に、手根骨の並び方、指と向きの名称、関節の名前、手首のレントゲン正常像の見方を順に整理します。
先に結論
- 手根骨は8個。親指側から近位列:舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨、遠位列:大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨。手の骨は手根骨8・中手骨5・指骨14の27個。
- 向きは橈側=親指側・尺側=小指側、掌側=手のひら側・背側=手の甲側。指の関節は指先からDIP・PIP・MP、手根骨との境がCM関節(母指はIP・MP・CM)。
- 手首のX線は、正面像でGilulaの3本の弧と手根骨のすき間、側面像で橈骨・月状骨・有頭骨・第3中手骨の並びを見る。手をついて転んだ後は舟状骨骨折を見逃しやすい。
目的から読む: 手根骨8個の並び・覚え方 / 手の骨の数 / 指・向きの名称 / 関節の名前 / 手首レントゲンの見方 / 骨ごとの正常像 / 舟状骨骨折
手根骨は8個|名前と並び方、覚え方
手根骨は手首にある8個の小さな骨で、前腕側の近位列4個と指側の遠位列4個の2列に並びます。どちらの列も、親指側から順に名前を言えれば十分です。

| 列 | 親指側 → 小指側 |
|---|---|
| 近位列 | 舟状骨(scaphoid) → 月状骨(lunate) → 三角骨(triquetrum) → 豆状骨(pisiform) |
| 遠位列 | 大菱形骨(trapezium) → 小菱形骨(trapezoid) → 有頭骨(capitate) → 有鉤骨(hamate) |
覚えるときは「近位列:舟・月・三角・豆」「遠位列:大・小・頭・鉤」と、親指側から4つずつ区切って唱えると整理しやすくなります。

レントゲンの正面像では、豆状骨は三角骨の手のひら側に重なって見えます。また、舟状骨の骨折は受傷直後のレントゲンでわかりにくいことがあります(舟状骨骨折の節)。
手の骨の名前と数|手根骨・中手骨・指骨で27個
手の骨は手首側から手根骨(8個)→中手骨(5本)→指骨(14本)の3グループで、片手27個です(豆状骨以外の種子骨は数えない)。指骨が14本なのは、母指だけ中節骨がないためです。

| グループ | 骨の名前 | 数 |
|---|---|---|
| 手根骨 | 舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨・大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨 | 8個 |
| 中手骨 | 第1〜第5中手骨(手のひら・手の甲の部分) | 5本 |
| 指骨 | 基節骨(5本)・中節骨(4本、母指にはない)・末節骨(5本) | 14本 |
指の骨は、根元から基節骨・中節骨・末節骨と呼びます。合計すると、片手の骨は27個、両手で54個です(豆状骨以外の種子骨は数えない)。このほか、母指の付け根などに種子骨という小さな骨が見られることがあり、骨片と間違えないよう注意します。
手の解剖と名称|指の名前と、橈側・尺側・掌側・背側
指は親指から母指・示指・中指・環指・小指、向きは親指側を橈側・小指側を尺側、手のひら側を掌側・手の甲側を背側とよびます。

| 部位 | 解剖学の名称 | ふだんの呼び方・英語 |
|---|---|---|
| 第1指 | 母指(ぼし) | 親指・thumb |
| 第2指 | 示指(じし) | 人差し指・index finger |
| 第3指 | 中指(ちゅうし) | 中指・middle finger |
| 第4指 | 環指(かんし) | 薬指・ring finger |
| 第5指 | 小指(しょうし) | 小指・little finger |
| 手のひら | 手掌(しゅしょう) | palm |
| 手の甲 | 手背(しゅはい) | dorsum of hand |
| 親指の付け根のふくらみ | 母指球 | thenar eminence |
| 小指の付け根のふくらみ | 小指球 | hypothenar eminence |
| 手首 | 手関節 | wrist |
向きの名称:手のひら側を掌側(palmar/volar)、手の甲側を背側(dorsal)、親指側を橈側(radial、橈骨のある側)、小指側を尺側(ulnar、尺骨のある側)、体の中心や手首に近い側を近位、指先側を遠位とよびます。
手の関節の名前|DIP・PIP・MP・CM関節と手首の関節
指の関節は指先からDIP関節・PIP関節・MP関節、中手骨と遠位手根骨の間がCM関節です。母指は関節がひとつ少なく、IP関節・MP関節・CM関節になります。

CM関節(carpometacarpal joint / CMC joint)
遠位手根骨と中手骨基部の関節です。第1CM関節(母指)は鞍関節(saddle joint)で、よく動きます。ほかのCM関節は平面関節が主体で、正面像では関節のすき間が均等かを見ます。

MP関節(metacarpophalangeal joint / MCP)
中手骨頭と基節骨底の関節です。正面像で関節のすき間の幅と均等さ、側面像で脱臼や、掌側板(volar plate)損傷の手がかりになる小さな裂離骨片がないかを見ます。

PIP関節(proximal interphalangeal joint)
第2〜5指の近位指節間関節です。正面像で関節のすき間の均等さ、側面像で関節面が平行かを見ます。変形性変化や外傷による変化を最初に確かめる場所です。

DIP関節(distal interphalangeal joint)
第2〜5指の遠位指節間関節です。末節骨の基部の骨硬化・骨棘や、石灰化がないかを見ます。

IP関節(interphalangeal joint)
指節骨の間の関節です。母指にはIP関節が1つだけあります。正面像で関節のすき間の幅と、骨棘・骨硬化の有無を見ます。

手首(手関節)はひとつの関節ではない

手首の関節の名称:手首(手関節)は1つの関節ではなく、橈骨と近位手根骨の間の橈骨手根関節、近位列と遠位列の間の手根中央関節、橈骨と尺骨の先端どうしの遠位橈尺関節(DRUJ)などが集まったものです。尺骨と手根骨の間には、三角線維軟骨複合体(TFCC)というクッションがあります。
TFCCの正常な形と、損傷したときのMRIでの見え方は、TFCC損傷とは?手関節MRI画像所見とTFCCの正常解剖で画像と合わせて確かめられます。
手首(手関節)レントゲンの見方|正常像のチェックポイント
手首のX線は正面(PA)像と側面像が基本です。正面像ではGilulaの3本の弧と手根骨どうしのすき間、側面像では橈骨・月状骨・有頭骨・第3中手骨が一直線か、両方で骨の輪郭の途切れを見ます。
手首のレントゲンは、正面(PA)像と側面像を基本に、必要に応じて斜位像や、舟状骨を見やすくする舟状骨撮影(尺屈位の正面など)を追加します。正常像では次の点を確認します。

- Gilulaの3本の弧(正面像):①近位列(舟状骨・月状骨・三角骨)の前腕側の縁、②近位列の指側の縁、③有頭骨と有鉤骨の前腕側の縁、をそれぞれ結ぶと、なめらかな3本の弧になります。弧が途切れたり段差があれば、脱臼や靱帯損傷を疑います(Gilula 1979)
- 関節のすき間:手根骨どうしの間隔がほぼ均等で、骨の縁どうしが平行かどうかを見ます。舟状骨と月状骨の間だけが広い場合は、靱帯損傷の手がかりになります
舟状骨と月状骨の間が広いときの基準と、その先に起こる変化は、舟状月状骨解離(SL靭帯損傷)とは?X線・MRIの画像診断の基準とSLAC wristで症例と合わせて見られます。

- 側面像の並び:橈骨・月状骨・有頭骨・第3中手骨がほぼ一直線に並ぶかを確認します
- 骨の輪郭:骨皮質(骨の外側の白い縁)が途切れていないか、特に舟状骨・橈骨の先端を確認します
橈骨の先の角度と長さ(正常値の目安)

骨折の評価では、橈骨の先端の角度や長さも測ります。手関節レントゲン981枚を測定した報告では、次の平均値でした(Bilgin 2023。トルコの集団での値で、人種・個人で差があります)。
| 計測項目 | 見る像 | 平均値(±標準偏差) |
|---|---|---|
| 掌側傾斜(volar tilt) | 側面 | 15.4±4.3度 |
| 橈骨傾斜(radial inclination) | 正面 | 26.8±3.6度(男性) |
| 橈骨高(radial height) | 正面 | 13.6±2.1mm |
| 尺骨変異(ulnar variance) | 正面 | 0.8±1.9mm |
骨折したときにこれらの値がどう崩れるか、見逃しやすい合併損傷は、橈骨遠位端骨折のレントゲンの見方とCT画像所見で続けて読めます。
骨ごとのレントゲン正常像|手根骨・関節・中手骨・指骨・尺骨・橈骨
ここからは、骨ごとにX線のどこを見るかを、ラベル付きの正常像で確かめます。まず日本語と英語の対訳です。
| 日本語 | 英語(標準表記) | 備考 |
|---|---|---|
| 三角骨 | triquetrum(triquetral bone) | 近位列・尺側 |
| 月状骨 | lunate | 近位列中央 |
| 舟状骨 | scaphoid | 近位列・橈側 |
| CM関節 | carpometacarpal joint | 略語:CMC joint |
| IP関節 | interphalangeal joint | 母指はIPのみ |
| MP関節 | metacarpophalangeal joint | 略語:MCP joint |
| PIP関節 | proximal interphalangeal joint | 第2~5指 |
| DIP関節 | distal interphalangeal joint | 第2~5指 |
| 中手骨 | metacarpal (bone) | 第1~第5 |
| 基節骨 | proximal phalanx | 全指に存在 |
| 中節骨 | middle phalanx | 母指にはない |
| 末節骨 | distal phalanx | 指先の骨(爪の下) |
| 尺骨茎状突起 | ulnar styloid process | 尺骨遠位端の突起 |
| 尺骨 | ulna | 前腕の尺側の骨 |
| 橈骨 | radius | 前腕の橈側の骨(手関節では遠位端を主に評価) |
近位手根骨
三角骨(triquetrum)
近位列の尺側にあります。正面(PA)像では豆状骨(pisiform)と重なりやすいため、輪郭が不明瞭なことがあります。斜位像では重なりが外れ、輪郭を追いやすくなります。

月状骨(lunate)
近位列の中央にあります。側面像で橈骨遠位端〜月状骨〜有頭骨〜第3中手骨が一直線に並ぶかを確かめます。正面像では概ね四角形の輪郭、側面像では半月形の輪郭と、骨皮質の連続性を見ます。

舟状骨(scaphoid)
近位列の橈側にあります。尺屈位(ulnar deviation)の正面像で撮ると、舟状骨が短く重なって写るのを避けやすく、くびれた腰部(waist)を評価しやすくなります。単純X線で骨折が見えないこともあり、その場合の考え方は舟状骨骨折の節にまとめます。

中手骨(metacarpal (bone))
第1〜第5の5本です。正面像では基部(base)〜骨幹(shaft)〜骨頭(head)の連続性と、骨皮質の途切れ・骨梁の乱れを見ます。第1中手骨は短く、母指球側にあります。

基節骨(proximal phalanx)
すべての指にあります。正面像で基部の関節面とMP関節の合い方、側面像で骨皮質の途切れ(裂離骨折など)を見ます。

中節骨(middle phalanx)
第2〜5指にあります(母指にはない)。PIP関節とDIP関節の目印として、基部・頭部の形を押さえます。

末節骨(distal phalanx)
指先の、爪の下にある骨です。正面像で先端のふくらみ(末節骨粗面、tuft)の形を見ます。指先をはさんだ・打ったあとは、骨折線と、爪の下の血腫を思わせる軟部の腫れに注意します。

尺骨茎状突起(ulnar styloid process)
尺骨の遠位端の、背側〜尺側に突き出た部分です。正面像や側面像で茎状突起の位置と骨片(尺骨茎状突起骨折)を確かめます。TFCC損傷の臨床像と合わせて評価することがあります。

尺骨(ulna)
前腕の尺側の骨です。手関節のX線では遠位部だけが写ります。正面像で遠位橈尺関節(DRUJ)の合い方、側面像で橈骨との重なり方と、背側・掌側へのずれがないかを見ます。

橈骨(radius)
前腕の橈側の骨です。手関節のX線では遠位橈骨(distal radius)がいちばん大事な評価部位です。正面像では舟状骨窩(scaphoid fossa)と月状骨窩(lunate fossa)の連続性、DRUJの合い方を見ます。側面像では掌側傾斜(volar tilt)、背側へのずれ、関節面の段差(step-off)がないかを確かめます。

関連:手根骨、橈骨・尺骨、手関節の関節名のレントゲン解剖(画像をめくりながら骨の名前を確かめられます)
舟状骨骨折を見逃さないために|X線で見えないときはMRI
手をついて転んだあとに手首の親指側が痛むときは、最初のX線で骨折が見えなくても舟状骨骨折が残っていることがあります。疑いが続くときに、骨折を確かめるにも除外するにも最も正確なのはMRIです(Carpenter 2014)。

初回X線で骨折が見えない場合、骨折の確定にも除外にも最も正確なのはMRIで、CTは骨折の確認には有用ですが除外には不十分とされています(Carpenter 2014)。同じ報告では、救急外来で舟状骨骨折が疑われ初回X線で診断できない成人のうち、あとの画像で骨折が見つかる割合の推定は25%でした。診察所見では、嗅ぎタバコ窩の圧痛がないこと(陰性尤度比0.15)だけが骨折の見込みを大きく下げ、ほかの所見だけでは確定も除外もできませんでした(Carpenter 2014)。
Cochraneレビュー(11研究)では、X線で骨折が見えない舟状骨骨折疑いに対する成績は次のとおりでした(Mallee 2015)。
| 検査 | 感度 | 特異度 |
|---|---|---|
| CT | 72% | 99% |
| MRI | 88% | 100% |
| 骨シンチグラフィ | 99% | 86% |
骨シンチは感度が高いものの特異度が低く、疑い例のうち本当に骨折している割合は中央値20%と低いため、偽陽性による過剰治療が増える点に注意が必要です(Mallee 2015)。
あわせて読みたい:舟状骨骨折とは?好発部位、CT画像診断のポイントは?
あわせて読みたい:有鉤骨鉤骨折とは
手の骨・手首のレントゲンでよくある疑問(Q&A)
Q. 豆状骨はどこにありますか?
手のひら側・小指側の手首にある小さな骨で、三角骨の手のひら側に乗っています。手首の小指側の付け根に出っぱりとして触れ、正面のレントゲンでは三角骨と重なって見えます。
Q. 手の骨は全部で何個ありますか?
片手で27個です。手首の手根骨が8個、手のひらの中手骨が5本、指の骨(指骨)が14本で、両手では54個になります(豆状骨以外の種子骨は数えていません)。
Q. 指の正式な名前は?
親指から順に、母指・示指・中指・環指・小指とよびます。指の骨は根元から基節骨・中節骨・末節骨で、母指だけは中節骨がありません。
Q. 手首のレントゲンで「異常なし」でも痛みが続くのはなぜ?
舟状骨骨折は、受傷直後のレントゲンで写らないことがあります。レントゲンで骨折が見えない舟状骨骨折疑いでは、MRIの感度88%・特異度100%、CTの感度72%・特異度99%と報告されています(Mallee 2015)。痛みや嗅ぎタバコ窩の圧痛が続くときは、MRI(使えなければCT)で骨折を確かめます(Carpenter 2014)。
よくある勘違い
Q. 手根骨は7個?
8個です。豆状骨が正面像で三角骨と重なるため、数え落としやすいだけです。近位列は舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨、遠位列は大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨です。
Q. 尺骨は親指側の骨?
いいえ。親指側は橈骨、小指側が尺骨です。手首では橈骨のほうが太く、手根骨と大きな関節をつくります。
Q. 手首のX線で骨折が見えなければ、舟状骨骨折は否定できる?
できません。受傷直後のX線に写らないことがあります。疑いが続くときに骨折を確かめるにも除外するにも最も正確なのはMRIで、CTは確認には役立ちますが除外には不十分とされています(Carpenter 2014)。
今日のまとめ
- 手根骨8個は2列。親指側から舟・月・三角・豆/大・小・頭・鉤。手の骨は片手27個(母指は中節骨がない)。
- 親指側が橈側、小指側が尺側。指の関節は指先からDIP・PIP・MP、手根骨との境がCM。
- 手首X線はGilulaの3本の弧・すき間・側面の一直線を見る。X線で見えない舟状骨骨折は疑いが続けばMRI。
参考文献
- Gilula LA. Carpal injuries: analytic approach and case exercises. AJR Am J Roentgenol. 1979;133(3):503-17. PubMed
- Carpenter CR, Pines JM, Schuur JD, et al. Adult scaphoid fracture. Acad Emerg Med. 2014;21(2):101-21. PubMed
- Mallee WH, Wang J, Poolman RW, et al. Computed tomography versus magnetic resonance imaging versus bone scintigraphy for clinically suspected scaphoid fractures in patients with negative plain radiographs. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015(6):CD010023. PubMed
- Bilgin Y, Ekinci M, Ozmen Z, et al. Radiological measurement parameters of distal radius and wrist measured on X-rays in the Turkish population. North Clin Istanb. 2023;10(4):484-489. PubMed
症例画像は各図の引用元のとおりです。
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