先に結論:Brodie膿瘍

  • Brodie膿瘍は、主に黄色ブドウ球菌によるゆっくり進む(亜急性〜慢性の)骨髄炎で、骨の中に膿のたまった空洞ができます。小児〜若年者の脛骨などの骨幹端に多く、熱や血液検査の異常が目立たないこともあります
  • レントゲン・CTでは硬化縁に囲まれた細長い透亮像で、MRIでは膿瘍の周りのT1強調像でやや高信号の縁(penumbra sign)が特徴で、類骨骨腫などの骨腫瘍との区別に役立ちます
  • 「Brodie骨膿瘍」とも呼ばれ、若い男性の下肢の長管骨に多い病気です
  • 治療は手術での掻爬(膿の除去)と抗菌薬です

Brodie膿瘍

  • 緻密線維組織もしくは硬化性骨により囲まれた膿瘍(骨内膿瘍)。
  • 亜急性または慢性の経過をとる骨髄炎の1型で、原因菌は黄色ブドウ球菌が多い(培養で検出された菌の67.3%)(van der Naald 2019)。
  • 発症はきわめて緩徐であり、臨床症状に乏しい。
  • 局所の疼痛、圧痛や発赤、腫脹などで発症する事も多いが、それらの症状や、CRP上昇、WBC上昇などの感染症を示唆する所見が認められない場合があるので、画像診断は重要。
  • 若年者の男性に多い(407例の報告例の集計で年齢中央値17歳、男女比2.1:1)(van der Naald 2019)。
  • 管状骨(長管骨)の骨幹端〜骨幹に好発し(86%)、下肢に多い(63%)(Lopes 1997)。境界明瞭な溶骨性病変を形成して、周囲に硬化縁や骨膜反応を伴う。

Brodie膿瘍の特徴を数字で見る(好発部位・症状)

項目 報告されている値(van der Naald 2019、Lopes 1997)
年齢・性別 年齢中央値17歳、男女比2.1:1
症状 痛み98%、腫れ53%。診断までの症状期間の中央値12週
発熱・炎症反応 84%は発熱なし、炎症マーカー上昇は50%未満
好発部位 管状骨の骨幹・骨幹端(86%)、下肢(63%)
治療 手術94%、長期の抗菌薬77%、再発15.6%

気になる痛みや腫れが続く場合は、医療機関を受診してください。

Brodie膿瘍の画像所見

  • レントゲンで透亮像(骨の長軸に沿って細長い形態、運河状channel-like)の周囲に硬化縁や骨膜反応を伴う。
  • CTで、透亮像の中に腐骨(sequestrum)の描出が見られることがある。
  • MRIでは層状構造を示す。中心から辺縁にかけて、膿瘍腔→炎症性肉芽(T1WIで高信号が特徴、penumbra sign)→反応性骨硬化・周囲の浮腫を反映した画像所見を呈する(Eur Radiol (2005) 15: 1268–1270)。penumbra signは亜急性骨髄炎の約75%にみられ、T2強調像・STIRでのdouble-line sign(約29%)より感度が高い。病理学的には血管に富む肉芽組織の層に相当し、腫瘍よりも感染を示唆する所見だが、疾患特異的ではない(Grey 1998)。
  • 単純X線写真では、くねくねと蛇行する透亮像(serpentine sign)も手がかりになる(Kornaat 2010)。

Brodie膿瘍の鑑別診断

Brodie膿瘍は骨腫瘍と間違えられやすく、もっとも多い誤診は原発性骨腫瘍です(Kornaat 2010)。骨腫瘍と考えられた亜急性骨髄炎21例の術前診断には、次のものが含まれていました(Cottias 1997)。

など。最終的な診断は、生検・掻爬で得た組織の病理検査と培養で確かめます(Cottias 1997)。

※下腿の痛みと骨硬化を伴う病変としては、疲労骨折(ストレス骨折)の記事も参考にしてください。

 

症例 30歳代男性 発熱、右下腿痛

Brodie膿瘍 CT(骨条件) 冠状断像
引用:Radiopaedia(Brodie abscess – tibia)

右脛骨の近位骨幹部の髄内に、境界明瞭な円形の溶骨性病変を認めます。周囲には厚い骨硬化と皮質の肥厚を伴っています。症例報告ではBrodie膿瘍の典型像とされ、手術の培養で黄色ブドウ球菌が検出されています。

よくある疑問(Q&A)

Q. 腐骨(sequestrum)とはどういう意味ですか?

A. 感染で血流が途絶えて壊死し、周りの生きた骨から切り離された骨のかけらのことです。CTでは膿瘍腔の中に浮かぶ、周囲より白い(高吸収の)骨片として見えます。Brodie膿瘍でも透亮像の中に見られることがあります。

関連記事:骨髄炎のMRI画像診断|急性・慢性骨髄炎の所見とBrodie膿瘍(penumbra sign)

関連記事:骨腫瘍の画像診断|年齢・部位・レントゲン所見(Codman三角・骨膜反応)で考える鑑別

参考文献

  1. Grey AC, Davies AM, Mangham DC, et al. The ‘penumbra sign’ on T1-weighted MR imaging in subacute osteomyelitis: frequency, cause and significance. Clin Radiol. 1998;53(8):587-92. PubMed
  2. Davies AM, Grimer R. The penumbra sign in subacute osteomyelitis. Eur Radiol. 2005;15(6):1268-70. PubMed
  3. Jaramillo D, Dormans JP, Delgado J, et al. Hematogenous Osteomyelitis in Infants and Children: Imaging of a Changing Disease. Radiology. 2017;283(3):629-643. PubMed
  4. Foster CE, Taylor M, Schallert EK, et al. Brodie Abscess in Children: A 10-Year Single Institution Retrospective Review. Pediatr Infect Dis J. 2019;38(2):e32-e34. PubMed
  5. van der Naald N, Smeeing DPJ, Houwert RM, et al. Brodie’s Abscess: A Systematic Review of Reported Cases. J Bone Jt Infect. 2019;4(1):33-39. PubMed
  6. Lopes TD, Reinus WR, Wilson AJ. Quantitative analysis of the plain radiographic appearance of Brodie’s abscess. Invest Radiol. 1997;32(1):51-8. PubMed
  7. Cottias P, Tomeno B, Anract P, et al. Subacute osteomyelitis presenting as a bone tumour. A review of 21 cases. Int Orthop. 1997;21(4):243-8. PubMed
  8. Kornaat PR, Camerlinck M, Vanhoenacker FM, et al. Brodie’s abscess revisited. JBR-BTR. 2010;93(2):81-6. PubMed

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