血管腫(hemangioma)/静脈奇形(venous malformation)

  • 良性軟部腫瘍の7%を占める最も多い軟部腫瘍。
  • ただし、軟部腫瘍登録における「血管腫」の多くは、国際血管腫・血管奇形学会(ISSVA)や血管腫、血管奇形診療ガイドラインでの「静脈奇形」に相当すると推定される。
  • 皮膚-皮下組織、深部までさまざまな部位に発生するが、皮下などの表層に好発する。
  • 発生部位は頭頸部や四肢に多い。体幹に認められることもある。
  • 孤発性が大部分を占める。
  • 男女比=1:2。
  • 拡張した血管腔であり、浸潤性に発育する。
  • 組織学的には多くはvenous malformation(細胞増殖を伴わない先天的な血管形成異常で成長とともに進行するもの)に属する。

血管腫/静脈奇形の画像所見

▶単純X線・CT:円形の境界明瞭な静脈石(石灰化)を認めることが多い。静脈石の存在は本疾患を強く疑う。

▶MRI所見:

  • T2WIでは、拡張した血管腔はぶどう房状の多発分葉状高信号域(bunch of grapes)として認められ、線維性隔壁は線状・網状低信号域、静脈石は点状低信号域(dot sign) を呈する。
  • T1WIでは血液の貯留を反映して筋肉と等-高信号。
  • 脂肪の介在。
  • 関与血管の描出。fast flowかslow flowかが治療に必要。
  • 時に血液貯溜を示唆するfluid-fluid levelを認める。

症例 40歳代女性

hemangioma1

左大腿部皮下にCTで拡張した血管を認め、脂肪の介在を認めます。

hemangioma2

MRIではT2WIで高信号の多房性病変を認め、T1WIでは概ね筋肉と等信号を示しています。

血管腫/静脈奇形を疑う所見です。

鑑別

  • 若年女性、flow void目立つとき→胞巣状軟部肉腫(alveolar soft-part sarcoma)の可能性あり。

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