胆嚢腺筋腫症(GB adenomyomatosis)とは?
- 一種の過誤腫で、良性疾患。
- 腺筋腫様過形成(adenomyomatous hyperplasia)とも呼ばれる。
- 外科的に摘出された胆嚢の5%前後に見られる。
- 病理学的には粘膜と固有筋層の過形成。
- 肉眼上、一般的にびまん型、限局型、分節型の3型に分類される。
- 特徴的なのはRokitansky-Aschoffsinus(RAS)と呼ばれる粘膜上皮の筋層内への深い陥入(壁内憩室)であり、腺筋腫症の90%以上で認められる。
- 癌が合併することがあるが、前癌病変としては否定的とする意見が多い。
(60歳以上の高齢者で分節型胆嚢腺筋腫症の底部側粘膜は前癌状態である(Nabatame)、これを否定する報告(長浜ら))。 - RASは通常5mm以下であるが、胆嚢内腔との交通が途絶えると拡張が目立つことがある。
- RASの内容は漿液性の液体や濃縮胆汁であり、結石を内包することもある。
胆嚢腺筋腫症のMRI画像所見は?
- RASを証明することが大事。CTでは描出は困難。MRCPが有用。
- ただし、CTでは、数珠上の壁肥厚、病変部の漿膜下脂肪増殖、内腔および壁内(RAS内)の結石が特徴的。
- MRCPなどT2強調像で数珠状の高信号として描出される。この所見はstring of beads signと呼ばれ高いspecificityを有し、胆嚢癌との鑑別に有用。
- RASが小さい場合(2mm以下)やRAS内に結石が存在する場合は、これらの所見が認められないこともあり、この所見のsensitivityは60%程度と言われている。
動画で学ぶ胆嚢腺筋腫症(底部型)
▶キー画像
動画で学ぶ胆嚢腺筋腫症(分節型+底部型)
参考)肝胆膵の画像診断