アルコール性肝障害に伴う過形成性結節(AHN:alcoholic hyperplastic nodule)
・慢性アルコール多飲者の10~20%にアルコール性肝硬変を生じる。
・しばしば単発あるいは多発の多血性結節が出現する。
・この結節は比較的若年者に大きなものを生じることが多い。
・飲酒しているときよりも、禁酒しているときに発症することが多く、正常肝組織の過度の再生過程が原因とも言われている。
・多くは20mm以下。
・特に肝硬変に進行した症例で出現する事が多い。
・病理学的には限局性結節性過形成(FNH)に類似した過形成だが、FNHによく見られる中心瘢痕(central scar)が見られることは少ない。
・FHN like lesionに分類される。FNHは背景肝が正常肝に使われる用語なので、この場合は、FNHではなく、FNH like lesionと呼ばれることに注意。
アルコール性肝硬変にみられる過形成結節の画像所見
・過形成結節は、単純CTで低〜等吸収。
・ダイナミックCTでは早期濃染を呈する。後期相では、等〜時に低吸収となる。
・MRIではT1WIで等〜高信号、T2WIでは低〜高信号などさまざま。T2WIの低信号は、この結節に、鉄沈着が様々な程度で認められることによる。
・ダイナミックにおいては、早期濃染され、肝細胞相では等信号から淡く抜ける。
動画で学ぶアルコール性肝障害に伴う過形成性結節の画像診断
▶キー画像
FNH like lesionとは?
- B・C型肝炎
- アルコール性肝炎
- 肝血行動態に合併する結節(Budd-Chiari syn、特発性門脈圧亢進症、門脈体循環短絡、門脈形成不全など門脈血流低下を来す病態=anamalous portal tract syndrome)
- 薬剤性、自己免疫性、NASH
がベースにある場合にできる、多血性結節。
参考)肝胆膵の画像診断 山下康行先生