リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphangioleiomyomatosis:LAM)
- 生殖可能年齢の女性に発症するまれな疾患。進行性全身性疾患。
- 2009年に肺リンパ脈管筋腫症からリンパ脈管筋腫症へ名称変更。全身疾患であるから。
- 進行する呼吸障害を認める。
- 臨床的には肺の進行性嚢胞性破壊と肺やリンパ節へのLAM細胞の集積がみられる。孤発性は突然変異が2回あってLAM細胞、TSC-LAMは1回の突然変異で。
- LAM細胞は肺移植後も転移し、再発する新生物。突然変異した遺伝子が残っているから。
- LAM細胞はリンパ系に進展して、全身に進展する。
- なぜ肺嚢胞ができるか。蛋白を溶かすから、トラッピングするから。
- ではLAM細胞はどこからくるのか?子宮?AML?まだわかっていない。見つかったときには全身に認められる。
- 有病率は100万人に1 人とされているが、結節性硬化症(TS)の約40%に合併する。
- TSに関連しない男性の症例も報告されて いる。
- 胸部症状は呼吸苦、咳嗽、胸痛、血痰、気胸、胸水など。
- 肺以外の症状としてはリンパ節腫大、巨大嚢胞性リンパ節腫瘤(リンパ血管筋腫)、腎臓に発生するリンパ血管筋脂肪腫などがみられる。
- 孤発性と結節性硬化症に伴うものがある。
- 孤発性(sporadic LAM):LAMの9割。女性。
- TSC-LAM:結節性硬化症(TSC)患者の3-8割。年齢と関連。年齢が上になるほどLAMが出る。
- 治療:肺には肺移植。抗エストロゲンのホルモン療法。ただし、ホルモン療法はより更年期症状を認める。効果的なのかはまだわからない。
- 予後:10年生存率7割くらい。
- 新しい治療:シロリムス。もともと抗生物質。免疫抑制作用が強いので抗腫瘍に用いられるようになった。
リンパ脈管筋腫症(LAM)の画像所見
- CTでは多発する薄い壁の嚢胞が肺全体にみられる。
- 嚢胞壁は薄く、一部に壁を認めず肺気腫と鑑別できないことがある。
- 嚢胞の大きさは大部分が2cm以下だが、最大で20cmとなることもある。
- 嚢胞は重症例で大きくなる傾向にあるとされ、重症度の判定にLAM histological scoreなども使用されている。
- 他、嚢胞破裂による気胸、肺出血によるすりガラス影、結節影、胸水、肺門・縦隔リンパ節腫大など。気胸は病気の進行期に起こることが多い。すりガラス影は出血や浮腫の結果として発生する。
- 結節性硬化症では肺外病変の合併(腎臓や骨など)
症例 30歳代女性。
両側の肺にはいずれも10mm以下の嚢胞が多発している。
各々の嚢胞は壁が薄く、周囲の肺にはすりガラス状の濃度上昇を認めている。
リンパ脈管筋腫症(LAM)が疑わしい。