Brodie膿瘍
- 緻密線維組織もしくは硬化性骨により囲まれた膿瘍(骨内膿瘍)。
- 黄色ブドウ球菌による骨髄炎の1型で、亜急性または慢性の経過をとる。
- 発症はきわめて緩徐であり、臨床症状に乏しい。
- 局所の疼痛、圧痛や発赤、腫脹などで発症する事も多いが、それらの症状や、CRP上昇、WBC上昇などの感染症を示唆する所見が認められない場合があるので、画像診断は重要。
- 特に20歳代、男性に多い。75%は男性。
- 小児の長管骨骨幹端の皮質に好発(特に脛骨遠位、近位)し、境界明瞭な溶骨性病変を形成して、周囲に硬化縁や骨膜反応を伴う。
Brodie膿瘍の画像所見
- レントゲンで透亮像(骨の長軸に沿って細長い形態、運河状channel-like)の周囲に硬化縁や骨膜反応を伴う。
- CTで、透亮像の中に腐骨(sequestrum)の描出が見られることがある。
- MRIで層状構造(4層)。中心から辺縁にかけて、腐骨→膿瘍→炎症性肉芽(T1WIで高信号が特徴、penumbra sign)→骨硬化を反映した画像所見を呈する(Eur Radiol (2005) 15: 1268–1270)。
Brodie膿瘍の鑑別診断
小児の長管骨の骨幹に、骨硬化を伴う透亮像の鑑別疾患は以下の通り。
- Brodie膿瘍
- 類骨骨腫 osteoid osteoma
- 疲労骨折(ストレス骨折)
- ランゲルハンス細胞組織球腫
- 骨肉腫
- ユーイング肉腫
など。
※ストレス骨折とは、これで見られる線状透亮像(骨折線)が膿瘍腔に相当する透亮像と異なることで鑑別できる。