【最終回】症例50 解答編

症例50

【症例】80歳代女性
【主訴】右下腹部痛
【データ】WBC 17500、CRP 21.09

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骨盤内で小腸の著明な壁肥厚を認めています。
周囲には腹水貯留を認め、1カ所腸管外ガス像を認めています。

消化管穿孔(小腸)を疑う所見です。

またDouglas窩には腹水貯留を認めており、腹壁の造影効果を認めています。
また腸間膜の脂肪織濃度上昇も全体的に目立ちます。
腹膜炎を疑う所見です。

つまり、小腸穿孔を起こして、細菌が腹腔内にばらまかれ、腹膜炎に至っているということが予想されます。

これまで、消化管穿孔・穿通といえば、

  • 上部消化管穿孔(十二指腸球部):症例6
  • 下部消化管穿孔(特発性S状結腸穿孔):症例16

という2症例の穿孔および、S状結腸憩室炎の穿通(症例14)の症例を見てきました。

通常、

  • 上部消化管穿孔→胃、十二指腸
  • 下部消化管穿孔→通常結腸からの穿孔

を意味します。

つまり、小腸穿孔の頻度はかなり少ないのです。

小腸穿孔の原因としては、

  • 内因性
  • 外因性

に大きく分けられ、

内因性としては、

  • イレウス
  • 腫瘍
  • ストロイド使用
  • 鈍的外傷

外因性としては、

  • 異物
  • 医原性
  • 鋭的外傷

などが報告されています1)

今回は何が原因で、小腸が穿孔しているのでしょうか?

よく見ると腸管壁肥厚が目立つ腸管内に異物を疑う高吸収な物体があります。

どうやらこれが今回悪さをしているようです。

冠状断像で見ても、異物を同定することができます。

さて、異物の正体は?

正解は動画の中で!

 

ε=\__〇_ ズコー

症例50の動画解説


関連:3層構造を保った壁肥厚と鑑別まとめ


参考文献:
1)日本腹部救急医学会雑誌 30(4):515~519,2010

 

お疲れ様でした。

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