【頭部MRA】症例2 解答編

【頭部MRA】症例2

【症例】70歳代女性

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脳底動脈は両側の上小脳動脈(SCA)を分岐して終わっていることがわかります(一見後大脳動脈に見えますが、最後は上小脳動脈(SCA)です。)。

両側の後大脳動脈(PCA)は、後交通動脈(Pcom)から分岐していることがわかります。

つまり、内頸動脈から血流を受けているということです。

上から見るとその様子がよくわかりますね。

つまり、今起こっている正常変異は以下のように両側の後大脳動脈のP1が低形成であるということです。

このように内頸動脈から後交通動脈(Pcom)経由で後大脳動脈(PCA)のP2以降が血流を受けるタイプを、胎生期の血行動態であるため、胎児型と言います。

 

診断:両側後大脳動脈(P1)低形成(胎児型)(正常変異)

 

今回のように、P1が確認出来ない場合も、確認できても、後交通動脈からの血流が優位な場合も胎児型と呼びます。

一つ参考症例を見てみましょう。

こちらの症例では、両側の後大脳動脈(PCA P1)は脳底動脈(BA)からも分岐しており、確認できますが、細く低形成であり、後交通動脈(Pcom)から分岐している方が太い様子がわかります。

このようなケースも胎児型と呼ぶと言うことです。

下から見るとその様子がよく分かりますね。

 

症例1、2で見てきたようなWillis動脈輪の一部の低形成や無形成というのは、日常診療でしばしば目にする正常変異であり、むしろ完全な形でWillis動脈輪を認めるのは半数程度とされています。

つまり、2人に1人くらいは完全な形ではないということです。

MRAを今後見ていけばこれらの変異がたくさん見られることが分かると思います。

そして、多いのでいちいち所見にも書かない傾向にあります。

ただし、慣れるまでは丁寧に所見を拾っていきましょう。

そのうち、「またか!もうええわ。」となるはずです。

関連:

【頭部MRA】症例2の動画解説

Willis動脈輪の正常変異

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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