【腹部TIPS】症例10 解答編

症例10

【症例】60歳代男性

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食道内に異物ありと放射線科レポートが記載されましたが、循環器科の依頼医は問題なしとしました。
なぜでしょうか?

胸部下部食道内に著明な高吸収の異物を疑う所見を認めています。

確かに異物はありそうです。

ではなぜ循環器科の依頼医は問題なしとしたのでしょうか?

両側著明な腎萎縮を認めています。

また、腸管内には石灰化を疑う高吸収を認めています。

どこかで見ましたね?

症例1(passは、NJB8GCXA)で見た、透析内服薬(リン吸着薬(ホスレノール、一般名:炭酸ランタン水和物))による消化管高吸収が疑われます。

 

実は、このホスレノールはCTやレントゲンで非常に高吸収を示す薬剤として知られています。

ですので、食道内の高吸収はこのホスレノールそのものなので問題なしと循環器科の依頼医は判断したということです。

 

参考症例として、このホスレノールを誤嚥した画像です。

右中間気管支の中葉下葉気管支分岐部手前にホスレノールを疑う高吸収を認めています。

消化管の糞便に石灰化を来すくらいの薬剤ですので、薬剤そのものは非常に高吸収となっているのでしょうね。

その他所見:

  • 動脈硬化著明。
  • 冠動脈PCI後。石灰化あり。
  • 膵頭部に嚢胞性病変あり。
  • 胆嚢内の高吸収は造影剤の疑い。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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