【腹部TIPS】症例83 解答編

症例83

【症例】30歳代 男性

エコーで膵尾部に腫瘤を指摘されたため、精査となる。

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膵尾部の腫瘤の正体は何と考えられる?

膵尾部には確かに造影される結節を認めています。

よく見ると各相で脾臓の染まりと似たような染まり方をしています

ということは、脾臓の組織が膵尾部に迷入していることが考えられます。

これを膵内副脾といいます。

 

診断:膵内副脾疑い

 

本当に脾臓と同じ組織なのかを確認する手段として、SPIO造影MRI検査があります。

SPIOを用いて、造影MRIが撮影されました。

T2WIは投与前後で結節ははっきりしません。

脂肪抑制T2WIで造影剤投与前後の画像を比べてみましょう。

ところが脂肪抑制T2WIでは投与前は結節ははっきりしませんが、SPIO造影剤後では脾臓と同程度の低信号を示していることがわかります。

次に、T2*WIで造影剤投与前後の画像を比べてみましょう。

すると、造影前も脾臓と同程度の低信号ですが、造影後はより明瞭に脾臓と同程度の低信号であることがわかります。

SPIOは投与後、主として肝臓、脾臓に存在するクッパー細胞に特異的に取り込まれるためです。

やはり膵内副脾が疑われるということが確認できます。

 

関連:膵類上皮嚢胞とは?膵内副脾とは?画像診断のポイントは?

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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