脳出血と言えば一番に多いのが被殻出血、視床出血と続きますが、脳出血の中でも重症とされるのが脳幹出血です。
別名「橋出血」とも言われ、脳幹部の橋にあたる部分が出血することが多いため、その名が付きました。
では、この脳幹出血(読み方は「のうかんしゅっけつ」英語表記で「Brainstem hemorrhage」)について
- 症状
- 原因
- CT画像診断
- 治療法
- 後遺症
- 看護
などをご説明したいと思います。
脳幹出血とは?
脳幹で何らかの原因により出血が起こることを、脳幹出血といいます。
全体的な脳出血の中でも10%を占め、出血量が多ければ最も重症で予後不良となることが多いものです。
その脳幹出血の中でも最も頻度が高いのが、橋で起こる橋出血で、脳幹出血は別名「橋出血」とも呼ばれる所以です。
脳幹出血の場合現れる症状は?
脳幹出血はほとんどの場合、突然起こるといわれています。
- 頭痛
- 高熱
- めまい
- 意識障害
- 呼吸障害
- 目の異常:高度縮瞳(pinpoint pupil)・眼球の正中固定・両眼の下方沈下
- 四股麻痺
- 燕下障害
まず、突然の頭痛や高熱、めまいが起こることが多いといわれています。
そして、息苦しくなり意識を失い発作から数分後には呼吸が止まることもあります。
また、瞳孔が小さくなったり(pinpoint pupil)、黒目が動かなくなったり目の位置がおかしいという目の異常が現れることも多いです。
脳幹を直接損傷するため、命に関わることが多いのもこの脳幹出血(橋出血)です。
どうして脳幹出血が起こる?原因は?
原因は他の脳出血と同様です。
高血圧が原因といわれています。
しかも、急な血圧上昇ではなく、既往歴のある人に起こりやすいといわれていて、糖尿病による高血圧の人も多くなっています。
またそれ以外では、アルコールやタバコの摂取過多も原因の1つに挙げられています。
脳幹出血(橋出血)のCT画像は?
では実際のCT画像を見てみましょう。
症例 70歳代 男性
橋の真ん中〜やや左寄りに高吸収域(白いところ)があります。
橋出血の状態です。
保存的に加療されました。
症例 70歳代男性 左上下肢脱力
頭部CTで橋に高吸収域(白い)を認めており、橋出血を疑う所見です。
保存的に加療され、2週間後のCT検査では、血腫は吸収されています。
症例 40歳代女性 意識障害
橋に広範な出血を認めています。
脳室内に穿破しており、側脳室下角の開大を認め、水頭症に陥っている事がわかります。
脳幹出血の治療法は?
実はこの脳幹出血、脳出血の中でも死亡率が高く治療も困難なものなのです。
どうして治療が困難なのかというと、脳の中心である脳幹には様々な神経が行き渡っているため、下手に手を出すと様々な障害が出るどころか命の危険にもつながります。
なので、手術を行うことじたいが大変リスクの高いものなんですが、中には患者の年齢や血管状態を詳しく調べ血腫を取り除く脳室ドレナージ術を行うことも稀にあります。
基本的には以下のような治療が行われます。
- 血圧コントロール
- 頭蓋内圧を下げる
- 呼吸を助ける
- 血流を保つ
基本的には高血圧によって起こったものなので、血圧コントロールが重要となります。
急激に下げるのではなく、徐々に下げ、その血圧をコントロールし保つことが再発予防ともなります。
また、頭蓋内圧を下げないと脳ヘルニアなど重篤な症状につながることもあります。
その他、その時の患者の状態に合わせた治療が行われます。