頬骨上顎複合骨折(zygomaticomaxillary complex:ZMC fracture)
- 眼窩下孔、頬骨弓、上顎洞の後外側壁、および眼窩外側壁に骨折がみられる。
- 頬骨の4つの縫合が離開する。
- 骨折部は顔面骨から遊離し、上顎洞の容積が縮小する点が特徴的である。他部位の骨折を合併することも多い。
- 眼窩外側壁の骨折は隣接する外眼角靭帯の損傷、偏位から複視をきたすことがあり、骨折の部位、程度によっては眼窩吹き抜け骨折(約半数)を合併することがある。
頬骨上顎複合骨折の合併症
- 頬骨弓が内側へ凹状に骨折すれば、患側の下顎骨を圧迫し牙関緊急(高度の開口障害) をきたす。
- 三叉神経第2枝が走行する眼窩下溝を含む骨折のため、末梢側の関連領域に感覚障害を生じることもある。
- 眼窩外側壁の内側偏位による外直筋の圧迫、比較的まれではあるが釣状突起骨折による外傷性副鼻腔炎などが代表的。
- 眼球破裂や頭蓋内合併症、特に前頭葉の脳挫傷や中頭蓋窩の硬膜外血腫なども重要。
頬骨上顎複合骨折のレポート記載すべき点
- 頬骨上顎複合体の骨折、破砕、偏位の程度。
- 鼻骨や篩骨洞、前頭骨、硬口蓋などの骨折の有無。
- 眼窩下壁骨折の詳細。内側壁骨折合併、眼窩容積の変化の有無。
- 眼窩外側壁の偏位、視神経管の状態。※眼窩の容積変化も複視とのかかわりが深く、臨床医にとって重要な情報である。
動画で学ぶ ZMC fracture(40歳代男性)
関連記事:【保存版】顔面骨折とは?症状やCT画像診断、治療法を徹底まとめ!
参考)臨床画像vol.25,No12,2009 1331-1341