先に結論:ヨード造影剤の前の問診とアレルギー既往
- 造影CTの前には造影剤の使用歴と副作用歴・喘息・腎機能(eGFR)を確認し、ほかのアレルギー・甲状腺疾患・糖尿病(ビグアナイド系薬)・妊娠も聞きます
- 以前に軽い副作用(吐き気・かゆみ・局所のじんましん等)があった人では、別の種類の造影剤を選び、ステロイドの前投薬を考えることがあります(前投薬の効果は確実ではありません)
- 以前にアナフィラキシー・ショック・喘息発作などの重い副作用があった人には、原則としてヨード造影剤を使いません
- 前投薬の薬剤・量・タイミングは、ガイドラインと施設の手順で確認してください
CT造影剤(ヨード)の使用前に問診(確認)すべき項目
日本医学放射線学会の「ヨード造影剤問診表」では、項目ごとに推奨度が示されています(日本医学放射線学会 2010)。
問診するように強く勧められる項目
- 造影剤使用歴、副作用歴とその症状
(例:吐き気、嘔吐、かゆみ、湿疹、呼吸困難、意識消失、血圧低下、その他) - 喘息(活動性か非活動性か)
- 腎障害(血清クレアチニン値、eGFR)
問診するように勧められる項目
- 喘息を除くアレルギー歴、アレルギー体質
- 甲状腺疾患
- 心疾患
- 糖尿病
- 妊娠
問診するように勧めるだけの根拠が明確でない項目
- 親族、家族の造影剤以外も含むアレルギー
- 高血圧
- 授乳
ヨード造影剤でアレルギーの既往があったらどうする?
過去にヨード造影剤でアレルギーの既往があれば、次も使えないかというとそうではありません。その過去のアレルギー症状の程度によります。
ただし、少しでも過去にアレルギー反応がある患者さんは要注意で、観察しなければなりません。
また、軽度でもアレルギーの症状があるならば、前投薬を投与するケースもあります。
軽度のアレルギー反応とは?
- 嘔気・嘔吐
- 味覚障害
- 咳嗽
- 搔痒感
- 局所の皮疹や膨疹
- 鼻閉
- 頭痛
- 発汗など
これらが以前の造影剤検査で出ているとわかっている場合は、ステロイドの前投薬を投与することがある。(内服で行う場合の薬剤・量・タイミングは施設の手順で確認する。)
※経口ステロイドを検査の約12時間前と2時間前の2回飲むと副作用が有意に減ったが、約2時間前の1回だけでは有意な効果がなかったとする大規模ランダム化試験があります(主にイオン性造影剤が使われていた時代の試験です)。
また、前回使用しているヨード造影剤と異なる種類のものを投与する。過去に即時型過敏反応を起こした患者を対象とした観察研究6件(7155例)のメタアナリシスでは、造影剤の種類を変更すると再発リスクが約61%低下していた(リスク比0.39)。ただし研究の質は限られ、重篤な反応の予防効果については結論が出ていない。
これ以上の症状、
- 広汎な皮疹や膨疹
- 喘息発作
- 呼吸苦
- ショック
- アナフィラキシー
などを起こしているならば、原則としてヨード造影剤は使用しない(どうしても必要な場合は、ほかの検査法も含めて検討する)。
前投薬をしても副作用は起こりうる
前投薬をしたうえで起きた反応(ブレイクスルー反応)128件では、81%が前回と同じ程度の重さでした(Davenport 2009)。前投薬をしても、検査中・検査後の観察と、反応への備えは欠かせません。
あとから出る湿疹・かゆみ(遅発性副作用)
造影剤の1時間後〜1週間後に起こる遅発性副作用にはかゆみ・皮疹などがあり、皮疹は非イオン性モノマー造影剤のあと約2〜4%にみられます。多くは軽症〜中等症で自然に治まります(Bellin 2011)。検査後に気になる症状があれば医療機関に相談してください。
造影剤アレルギーでよくある疑問(Q&A)
Q. ヨードアレルギーはどう調べますか?
A. ヨウ素そのものはアレルギーの原因物質ではないとされます(Schabelman 2010)。調べるべきなのは「以前に造影剤で副作用があったか、どの造影剤で、どんな症状だったか」で、問診と診療記録で確認します。
あわせて読みたい:ヨード造影剤(CT造影剤)の禁忌・原則禁忌とは?最新の添付文書での書き方と該当する患者
参考文献
- Lasser EC, Berry CC, Talner LB, et al. Pretreatment with corticosteroids to alleviate reactions to intravenous contrast material. N Engl J Med. 1987;317(14):845-9. PubMed
- Umakoshi H, Nihashi T, Takada A, et al. Iodinated Contrast Media Substitution to Prevent Recurrent Hypersensitivity Reactions: A Systematic Review and Meta-Analysis. Radiology. 2022;305(2):341-349. PubMed
- Isaka Y, Hayashi H, Aonuma K, et al. Guideline on the use of iodinated contrast media in patients with kidney disease 2018. Jpn J Radiol. 2020;38(1):3-46. PubMed
- 日本医学放射線学会. ヨード造影剤問診表 主治医ならびに患者用の質問項目とその推奨度. 2010. PDF
- Schabelman E, Witting M. The relationship of radiocontrast, iodine, and seafood allergies: a medical myth exposed. J Emerg Med. 2010;39(5):701-7. PubMed
- Davenport MS, Cohan RH, Caoili EM, et al. Repeat contrast medium reactions in premedicated patients: frequency and severity. Radiology. 2009;253(2):372-9. PubMed
- Bellin MF, Stacul F, Webb JA, et al. Late adverse reactions to intravascular iodine based contrast media: an update. Eur Radiol. 2011;21(11):2305-10. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
