造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation;HSCT)後の肺障害
1、移植後1ヶ月以内:移植後から移植片生着まで
- capillary leak syndrome(CLS)
- びまん性肺胞出血(diffuse alveolar hemorrhage:DAH)
- peri-engraftment respiratory distress syndrome(PERDS)
好中球が減少するため、感染症を伴いやすい。細菌・真菌感染が多い。カリニ肺炎やCMV肺炎といったウイルス肺炎もあり。
2、移植後1ヶ月-100日
- 急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)
- DAH
- pulmonary cystlytic thrombi(PCT)
- 器質化肺炎(organized pneumonia:OP)
3、移植後100日以降
- 閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)→慢性移植片対宿主病変
- 好酸球性肺炎(eosinophilic pneumonia:EP)
- 肺静脈閉塞症
- 間質性肺炎類似肺線維化病変
IPSとは
・idiopathic pneumonia syndrome(IPS)はHSCT後非感染性肺障害の総称。特発性間質性肺炎。感染症を除外したもの。同種骨髄移植の12%に認める。
・原因は移植前処置の化学療法およびTBIによる肺障害が推測されている。
・病理所見はDADであり、この点から急性間質性肺炎やARDSとほぼ同じ概念の疾患と考えられる。
・late-onset noninfectious pulmonary complication(LONIPC)と呼ばれることもあるが、こちらは、慢性移植片対宿主病との関わりが深い。
・3つの画像パターンが報告されている。
- 器質化肺炎型(COP):胸膜下浸潤影
- NSIP/OP型:気管支血管束周囲すりガラス影、浸潤影
- 上葉優位型肺線維症類似型(pleuropulmonary fibroelastosis:PPFE):上葉優位胸膜下浸潤影と上葉の容積減少。
参考)
・画像診断2014年1月 がん・感染症センター都立駒込病院 楊川哲代先生ら
・画像診断2005年1月 免疫不全患者の肺合併症の画像診断 山口大学田中伸幸先生ら