CTの左右の向き ゼロからの画像診断 #03

ゼロからの画像診断 #03

CTの画面では、肝臓がいつも左側に映っています。でも肝臓は体の右にあるはず。研修医のハジメくんと一緒に、「左右が逆に見える」しくみを図でじっくり確かめます。

先に結論

  1. CTの横断は、あおむけの患者さんを足のほうから見上げた向きで表示する決まり。
  2. だから画面の左=患者さんの右、画面の上=おなか側。向かい合った人の右手が、こちらから見て左にあるのと同じ。
  3. 冠状断も胸のX線写真も「向かい合った向き」なので同じ。迷ったら肝臓の位置と画面のR・Lの文字で確かめる。

肝臓が左にある?

ハジメハジメ(研修医)
先生、この患者さん、肝臓が左にあります!内臓が左右逆の人なんでしょうか。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
あわてなくて大丈夫ですよ。ハジメくん、その「左」というのは、画面の左ですか、それとも患者さんの左ですか?
ハジメハジメ(研修医)
え…画面の左です。あれ、同じじゃないんですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そこが今日のテーマです。CTの画面は、どこから見た絵なのかが決まっています。まず、CTを撮っているところを横から見てみましょう。
図1 足のほうから見上げる あおむけに寝た患者さんを横から見た模式図。横断の画像は、足もとに立って頭のほうを見上げた向きで表示する決まりになっている。
図1 足のほうから見上げる あおむけに寝た患者さんを横から見た模式図。横断の画像は、足もとに立って頭のほうを見上げた向きで表示する決まりになっている。
ハジメハジメ(研修医)
足もとから、輪切りの断面をのぞきこんでいる感じですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そうです。ベッドの足もとに立って、患者さんの体を頭のほうへ見通すと考えてください。では、そこから見ると患者さんの右手はどっちに見えますか?
図2 足もとから見た患者さん あおむけの患者さんを足側から見ると、おなかが上、背中が下。 患者さんの右手は、見ている人の左 にある。
図2 足もとから見た患者さん あおむけの患者さんを足側から見ると、おなかが上、背中が下。患者さんの右手は、見ている人の左にある。
ハジメハジメ(研修医)
あ、左側に見えます。患者さんの右手なのに。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
はい。これは特別なことではなくて、人と向かい合ったときといつも同じです。目の前の人に「右手を挙げて」と言うと、どっち側の手が挙がりますか?
図3 向かい合うと左右が逆になる 向かい合った人が右手を挙げると、こちらから見て左の手が挙がる。CTの画面は「患者さんと向かい合って見ている」のと同じ向き。
図3 向かい合うと左右が逆になる 向かい合った人が右手を挙げると、こちらから見て左の手が挙がる。CTの画面は「患者さんと向かい合って見ている」のと同じ向き。
ハジメハジメ(研修医)
そうか、鏡と違って、向かい合った人の右手はこっちの左なんですね。じゃあ肝臓が画面の左にあるのは…
ごろ〜ごろ〜(指導医)
ふつうのことです。肝臓は患者さんの右にあるので、画面では左に映ります。同じ輪切りを、決まりの向きと、逆の向き(頭のほうから見下ろした向き)で並べてみますね。
図4 同じ輪切りを2つの向きから 左はふだんの表示(足から見上げる)。右は頭から見下ろした向きで、左右が入れかわる。病院の画面は左の向きにそろえてある(模式図)。
図4 同じ輪切りを2つの向きから 左はふだんの表示(足から見上げる)。右は頭から見下ろした向きで、左右が入れかわる。病院の画面は左の向きにそろえてある(模式図)。
ハジメハジメ(研修医)
右の絵だと肝臓が画面の右に来て、解剖の教科書みたいで自然に見えます…。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そう感じる人は多いです。でも、みんながばらばらの向きで見たら、右と左をまちがえてしまいます。だから全員が同じ「足から見上げる」向きにそろえているんです。
マルオマルオ(技師)
撮る側からひとこと!頭から寝台に入っても、足から入っても、装置が向きをそろえて画像を作っています。うつぶせで撮ったときなどは見え方が変わることがあるので、画面の向きの文字も見てくださいね!

冠状断も、胸の写真も同じ

ハジメハジメ(研修医)
冠状断はどうなんですか?正面から見た形でしたよね。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
冠状断も患者さんと向かい合った向きです。だから画面の左が患者さんの右。胸のX線写真も同じ向きで見ます。横断・冠状断・胸の写真は、どれも「向かい合う」で覚えられます。
図5 冠状断も向かい合った向き 正面に立った患者さんと向かい合うと、患者さんの右は見ている人の左。冠状断の画面の左も患者さんの右になる(模式図)。
図5 冠状断も向かい合った向き 正面に立った患者さんと向かい合うと、患者さんの右は見ている人の左。冠状断の画面の左も患者さんの右になる(模式図)。

向きを確かめる目印

ハジメハジメ(研修医)
でも、本当に内臓が左右逆の人だったら、どうやって見分けるんですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
いい質問です。まず画面のR・Lの文字を見ます。そのうえで、いつも同じ側にある臓器を目印にします。肝臓と下大静脈は画面の左、胃と脾臓は画面の右。大動脈は背骨の前の少し画面右寄りです。
図6 左右を確かめる目印 上腹部の輪切り(造影CTの模式図)。画面の左に肝臓、右に胃と脾臓。R・Lの文字と臓器の位置が合っていれば、向きは正しい。
図6 左右を確かめる目印 上腹部の輪切り(造影CTの模式図)。画面の左に肝臓、右に胃と脾臓。R・Lの文字と臓器の位置が合っていれば、向きは正しい。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
レポートやカルテには、いつも患者さんの右・左で書きます。「画面の左に影」と書くと、読んだ人がまちがえるもとです。
ハジメハジメ(研修医)
気をつけます…。さっきの患者さん、R・Lの文字を見たら、ふつうの向きでした。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
確かめられましたね。画面の文字の読み方は、またくわしくやりましょう。
図7 断面ごとの向きの決まり 横断と冠状断は「画面の左=患者さんの右」。矢状断は右と左が出てこないかわりに、多くの施設で画面の左が前(おなか側)。
図7 断面ごとの向きの決まり 横断と冠状断は「画面の左=患者さんの右」。矢状断は右と左が出てこないかわりに、多くの施設で画面の左が前(おなか側)。

よくある勘違い

Q. 画面の左に肝臓があったら、内臓が逆の人?

いいえ。ふつうの人でも肝臓は画面の左に映ります。横断は足のほうから見上げた向きなので、患者さんの右が画面の左に来ます。

Q. レポートに「画面の右に影」と書いてもいい?

書きません。レポートやカルテでは、いつも患者さん本人から見た右・左で書きます。

Q. 冠状断は左右がふつう(鏡のよう)?

冠状断も患者さんと向かい合った向きなので、画面の左が患者さんの右です。横断と同じです。

今日のまとめ

  1. 横断は、あおむけの患者さんを足のほうから見上げた向き。画面の左が患者さんの右。
  2. 「向かい合った人の右手は、こちらの左」と同じ。冠状断も胸のX線写真も同じ向き。
  3. 迷ったら画面のR・Lの文字と、肝臓・胃・脾臓の位置で確かめる。書くときは患者さんの右・左で。

図はすべてコードで描いた模式図で、実際の画像ではありません。

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →