脾リンパ管腫(splenic lymphangioma)とは?

  • 稀な良性腫瘍。先天性。脾はまれで、75%は頸部、20%は腋窩に見られる。
  • 小児あるいは若年者
  • 緩徐発育型。大きくなると、嘔気、左上腹部痛、腹部膨満感などの症状をきたす。
  • 合併症として、大きなリンパ管腫では、出血、消費性凝固障害、脾機能亢進症、門脈圧亢進をきたす。
  • 単発性結節が多いが、多発性結節、びまん性リンパ管腫症(この場合他臓器の検索も必要)もある。
  • 単発性結節では、被膜下に見られる頻度が高い(リンパ管が集中する被膜と脾柱を侵すことが多いため。)
  • 病理:脈管形成奇形による異常に拡張したリンパ管
  • 管腔の大きさにより、毛細血管性、海綿状、嚢胞性の3タイプにわけられるが、脾では、嚢胞性リンパ管腫が最多。単一嚢胞より、内部隔壁で区切られた大小様々な管腔が蜂巣を形成している事が多い。

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脾リンパ管腫の画像所見

  • 典型的には隔壁を有する被膜下の嚢胞性病変

▶CT所見:

  • 典型的には被膜下の境界明瞭な嚢胞。薄壁、低吸収。造影効果なし
  • 壁に沿った曲線状の石灰化はリンパ管腫を示唆する所見。

▶MRI所見:

  • T2強調像で高信号の多房性嚢胞性腫瘤線維性隔壁は低信号のバンド
  • T1強調像は低信号だが、嚢胞内容物の蛋白濃度が高いときや、出血を伴うときは高信号。
症例 50歳代女性

SPLENIC LYMPHANGIOMA

脾臓の被膜下に分葉状の嚢胞性病変あり。T2WIにて高信号であり、リンパ管腫を疑う所見である。

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