先に結論:尿管癌の病期診断

  • 尿管癌のT因子はTa/T1(粘膜〜粘膜下)・T2(筋層)・T3(尿管周囲脂肪)・T4(隣接臓器)で、画像ではT2以下かT3以上かの区別が大切です
  • CTやMRIで尿管の外側の輪郭が保たれていればT2以下、壁の外側が不整・周囲脂肪の毛羽立ちや濃度上昇があればT3以上を疑います
  • CTでは尿管癌は造影欠損(尿管の中の腫瘤)・尿管壁の肥厚・腫瘤として写り、診断と病期診断の中心はCT urography(排泄相を含む造影CT)です
  • N因子はUICC第8版ではN1=2cm以下の単発、N2=2cmを超える単発または多発に整理されています

尿管癌のCT画像所見

  • 上部尿路上皮癌(腎盂癌・尿管癌)は、画像で造影欠損(filling defect)、壁肥厚、腫瘤形成などさまざまな形で現れます2)。
  • CTの見え方は、尿管の中に盛り上がる乳頭状、乳頭状の腫瘍が壁にも広がる浸潤性乳頭状、壁がびまん性に厚くなるびまん浸潤型に分けられます4)。
  • 造影CTでは腫瘍は中等度に造影され、排泄相では尿で白くなった尿管の中に黒く抜ける造影欠損として見えます。腫瘍より上の尿管・腎盂が拡張(水尿管・水腎症)していることも手がかりです。
  • 血尿の患者でのCT urographyの統合解析では、上部尿路上皮癌の検出の感度96%、特異度99%と報告されています(Chlapoutakis 2010)5)。

尿管壁肥厚は癌?鑑別のポイント

  • 尿管壁の肥厚は尿管癌だけでなく、結石が通過した後・尿路感染・結核・子宮内膜症・炎症性偽腫瘍などでも起こります。線維上皮性ポリープは乳頭状の尿管癌と同じような見え方をします4)。
  • 区別には造影のされ方、病変の場所、尿路の硬さ(壁の伸びにくさ)、壁肥厚の範囲が役立ちます4)。片側だけの限局した不整な壁肥厚や、尿管の中に盛り上がる腫瘤は癌を疑い、尿細胞診や尿管鏡で確認します。

尿管癌の病期分類

T因子

Ta:乳頭状非浸潤癌
T1:粘膜上皮下結合組織に浸潤する腫瘍
T2:筋層に浸潤する腫瘍
T3:尿管筋層をこえて尿管周囲脂肪織に浸潤する腫瘍
T4:隣接臓器に浸潤する腫瘍

尿管癌の読影の実際

  • 主にCTで評価する。
  • CTが施行できない場合はMRで評価する。上部尿路上皮癌の診断と病期診断ではCT urographyが第一選択とされ、MR urographyは小さな病変に対する感度が低いため、限られた臨床状況での使用にとどまる。また、Lynch症候群は上部尿路上皮癌と関連するにもかかわらず見逃されやすい遺伝性疾患であり、注意が必要である。
  • T2以下:尿管の壁肥厚あるいは、内部に造影欠損像として癌を認める。
  • 尿管壁の外側面は平滑である。
  • T3:癌部の尿管壁の不整や周囲脂肪組織の毛羽立ち、吸収値の上昇を認める。

※尿管癌のMRI staging

・円形に尿管が追える→T2以下。

05_0172_05a

・円形が断裂したら→T3以上。05_0172_05b

AJR Am J Roentgenol. 2007 Mar;188(3):W256-61.より引用

 

N因子

  • N0:所属リンパ節転移なし。
  • N1:最大径が2cm以下の1個のリンパ節転移
  • N2:最大径が2cmをこえる1個のリンパ節転移、または多発リンパ節転移

※所属リンパ節:腎門部、腹部傍大動脈、傍大静脈リンパ節、骨盤内リンパ節。

※腎盂癌、尿管癌では、腎門部や大動脈周囲だけでなく、横隔膜脚の後ろ(retrocrural)のリンパ節にも注意する。

腎門部リンパ節とは

  • 腎臓の入り口(腎門:腎動静脈と腎盂が出入りする部分)の周りにあるリンパ節で、腎盂・上部尿管の癌の最初の転移先になりやすい所属リンパ節です。中部〜下部の尿管癌では、大動脈・大静脈の周りや骨盤内のリンパ節も確認します。

尿管癌でよくある疑問(Q&A)

Q. 尿管癌はCTでどう見えますか?
A. 尿管の中の造影欠損、尿管壁の肥厚、腫瘤として見え、その上流の尿管・腎盂が広がっていることがあります。排泄相まで撮るCT urographyが基本です。

Q. 尿管壁が厚いと言われたら癌ですか?
A. 結石や炎症でも尿管壁は厚くなるため、それだけでは決まりません。尿の検査や尿管鏡で確かめることがあります。血尿など気になる症状があれば、泌尿器科を受診してください。

参考文献

  1. Browne RF, Meehan CP, Colville J, et al. Transitional cell carcinoma of the upper urinary tract: spectrum of imaging findings. Radiographics. 2005;25(6):1609-27. PubMed
  2. Nakai H, Takahashi H, Wellnitz CV, et al. Imaging of Upper Tract Urothelial Carcinoma. Radiographics. 2024;44(11):e240056. PubMed
  3. Ali O, Fishman EK, Sheth S. Upper urinary tract urothelial carcinoma on multidetector CT: spectrum of disease. Abdom Radiol (NY). 2019;44(12):3874-3885. PubMed
  4. Wang J, Wang H, Tang G, et al. Transitional cell carcinoma of upper urinary tract vs. benign lesions: distinctive MSCT features. Abdom Imaging. 2009;34(1):94-106. PubMed
  5. Chlapoutakis K, Theocharopoulos N, Yarmenitis S, et al. Performance of computed tomographic urography in diagnosis of upper urinary tract urothelial carcinoma, in patients presenting with hematuria: Systematic review and meta-analysis. Eur J Radiol. 2010;73(2):334-8. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →