心不全summary
- 多くは症状、身体所見、胸部X線で診断する。
- ただし、診断にはBNPの値が有用である。
- 原因検索とともに、治療を開始する。
・Fowler位とし、SpO2>95%を目標に酸素投与。
・カルペリチド(ハンプ®)持続静注+フロセミド®静注が治療の基本。
・高血圧があるなら、心不全悪化させるため、硝酸薬(ミオコール®)などで是正する。
心不全の検査
・胸部X線・・・座位にて撮影する。
・肺静脈圧≧18mmHg→間質性肺水腫、血管周囲や気管支周囲の浮腫、Kerley’s B線、下肺野の網状陰影、葉間胸水、胸水貯留
・肺静脈圧≧25mmHg→すりガラス陰影、粒状陰影、バタフライ陰影
・心電図
・採血 BNP BNP>100pg/mlを診断基準とすると感度90%、特異度75%、トロポニンT、CRP、Cr、電解質、貧血の有無
・心エコー
血行動態指標による心不全の重症度分類(Forrester分類)
Forrester分類 | 肺動脈楔入圧(mmHg ) | ||
<18 | ≧18 | ||
心係数(L/分/㎡) | ≧2.2 | Ⅰ群:・肺うっ血なし ・心拍出量正常 ・一般的治療 ・死亡率<5% |
Ⅱ群:・肺うっ血あり ・心拍出量正常 ・血管拡張薬・利尿薬 ・死亡率10% |
<2.2 | Ⅲ群: ・肺うっ血なし ・心拍出量低下 ・輸液 ・強心薬 ・死亡率20% |
Ⅳ群: ・肺うっ血あり ・心拍出量低下 ・強心薬 ・血管拡張薬・利尿薬 ・死亡率50% |
心不全の初期治療
・酸素投与・・・SpO2≧95%を目標にカヌラ→酸素マスク→リザーバー付きマスクにて酸素投与。
※血管拡張作用のため血圧低下には注意。
※1V=1000μg、0.2 μg/kg/分までUP可能。
※1回静注で反応不良ならば持続静注とし、ラシックス原液を0.5ml/時で持続静注開始。2.0ml/時までUP可能。
※治療薬の作用および注意点
・カルペリチド(ハンプ®)・・・血管拡張、Na利尿、RAA系抑制、交感神経抑制作用あり
・フロセミド(ラシックス®)・・・末梢静脈拡張と利尿作用により前負荷軽減→肺うっ血や浮腫軽減。腎障害のない例では10mg静注する。10分程度で利尿が起こり30分で100ml以上の利尿が得られる。腎機能障害ある場合で、1回静注で十分な利尿がなければ持続静注に切り替える。腎機能正常かつ反応不良→心拍出量低下s/o→強心薬であるドブタミン(ドプポン®)投与を考慮。1日の除水目標は体重で1~1.5kgとする。
ForresterⅡ群ではラシックス®とハンプ®で治療可能。しかし、ForresterⅣ群では利尿薬に加えてドブタミン(ドブポン®)投与を必要とすることが多い。
※心係数>2.2を目標に20 μg/kg/分までUP可能。
※ドブポン注0.3%シリンジ150mg/50ml
血圧90mmHg以下のショック状態には昇圧作用の強いドパミン(イノバン®)を投与する。
※血圧>90mmHgを目標に20μg/kg/分までUP可能。
※イノバン注0.3%シリンジ150mg/50ml
心不全の原因が頻脈性心房細動のとき、心拍数コントロールのために以下の薬剤を用いて心拍数を100回/分以下にする。
※以後2時間毎に心拍数<100回/分なるまで0.25mgずつ静注(計3回まで)
※1A=0.25mg/1ml
あるいは、
※心拍数と血圧により1ml/時ずつ適時増減
※1A=50mg