先に結論:尿瘤(urinoma)のCT
- 尿瘤は、腎盂・尿管などから尿が漏れ出して腎臓のまわり(後腹膜)にたまった状態で、外傷・手術や処置のほか、尿管結石などで尿路が詰まって腎杯が破れることで起こります
- CTでは腎臓のまわりの水の濃さの液体貯留として見え、造影剤が尿に出てくる時間(排泄相・遅延相)に撮影すると、造影剤が液体の中へ漏れ出すことで尿瘤と確定できます
- 合併症のないものは保存的に治療されることが多く、大きい・感染している場合はドレナージや、尿管ステント・腎瘻で尿の通り道を確保します
尿瘤(urinoma)は、腎盂や尿管などの尿路が破綻し、尿が後腹膜腔や腹膜内に漏出して生じる液体貯留病変です。
CTは尿瘤の診断において最も重要なモダリティの一つであり、正確な画像診断により、原因や重症度、治療方針を決定するうえで極めて有用です。
尿瘤(urinoma)の主な原因と鑑別
尿瘤の原因としては、以下のような外傷性・非外傷性の要因があります。
- 外傷性:交通外傷や医療処置(腎瘻・腎生検・尿管ステント挿入など)
- 非外傷性:尿路結石や尿管閉塞、腫瘍、妊娠などによる尿路の閉塞で腎盂内圧が急に上がり、腎杯の円蓋部(fornix)が破綻して尿が漏れ出ることによるものが多い(尿管結石の嵌頓が代表的)
腎周囲の液体貯留が尿瘤かどうかは、排泄相で造影剤が液体の中に入るかどうかで確かめます。
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尿瘤(urinoma)のCT画像での典型的所見
尿瘤は主に後腹膜腔、特に腎周囲脂肪織内における低吸収域(fluid collection)として描出されます。以下が典型的なCT所見です。
- 単純CT:腎周囲に境界明瞭な低吸収域が見られる
- 造影CT:遅延相で尿の漏出像(extravasation)を認めることがある
- air-fluid level:処置を受けていないのに尿瘤内にガスを含む場合は、感染(膿瘍化)の可能性を考える
特に遅延相での撮影は、尿の経路や漏出部位の確認に有用であり、尿管損傷や腎盂破裂との鑑別に重要です。尿の漏出を調べる画像検査としては、遅延相を含む造影CTが第一選択とされています(Titton 2003)。尿管損傷による尿瘤12例の検討では、尿瘤は境界のある水の濃度の液体貯留や腹水として見え、造影剤の漏出は6例が早い時相で、残り6例は遅延相でのみ確認されました。造影剤が入った尿瘤のCT値は80〜200HUでした(Gayer 2002)。米国泌尿器科学会(AUA)の尿路外傷ガイドラインでも、腎・尿管損傷を疑う場合は早期相に加えて遅延相(排泄相)まで撮影する造影CTが推奨されています。
症例 40歳代男性 鈍的外傷

引用:Radiopaedia
右水腎症を認め腎周囲に液貯留を認めており、尿瘤(urinoma)を疑う所見です。
1時間後の撮影で造影剤が腎周囲に増大しており、尿瘤(urinoma)およびその増大と診断することができます。
尿瘤(urinoma)の治療方針とフォローアップ
合併症のない腎からの尿漏れは、保存的に治療されることが多いとされます(Titton 2003)。
しかし、サイズが大きい場合や感染・敗血症を伴う場合は、以下の対応が必要になります。
- 経皮的ドレナージ(percutaneous drainage)
- 尿路通過障害があればステント留置や腎瘻造設
- 抗菌薬投与(感染時)
尿瘤でよくある疑問(Q&A)
Q. 「逸尿」とは何ですか?
A. 尿が尿路の外へ漏れ出ること(urine extravasation、尿漏)です。漏れた尿が一か所にたまって袋状になったものが尿瘤(urinoma、ユリノーマ)です。
Q. 「fluid collection」とはどういう意味ですか?
A. 画像で見える「液体のたまり」を指す言葉で、病名ではありません。尿瘤もfluid collectionの一つで、中身が尿かどうかは排泄相の造影CTで確かめます。
Q. 尿瘤と尿管瘤は同じものですか?
A. 違うものです。尿管瘤(ureterocele)は、尿管が膀胱に開く部分が袋状にふくらむ先天的な形の異常で、膀胱の中に袋として見えます。尿瘤は尿路から漏れた尿が尿路の外にたまったものです。
まとめ
尿瘤(urinoma)は、尿路損傷によって発生する後腹膜腔内の液体貯留であり、CTを用いた適切な診断が極めて重要です。
特に外傷後や尿路結石症例では、その存在を常に念頭に置く必要があります。
参考文献・出典
- Gayer G, Zissin R, Apter S, et al. Urinomas caused by ureteral injuries: CT appearance. Abdom Imaging. 2002;27(1):88-92. PubMed
- 画像診断2021年特集:泌尿器領域 p.493、p.1465-1468、p.253
- Feinstein KA, Fernbach SK. Septated urinomas in the neonate. AJR Am J Roentgenol. 1987;149(5):997-1000. PubMed
- Titton RL, Gervais DA, Hahn PF, et al. Urine leaks and urinomas: diagnosis and imaging-guided intervention. Radiographics. 2003;23(5):1133-47. PubMed
- Morey AF, Brandes S, Dugi DD 3rd, et al. Urotrauma: AUA guideline. J Urol. 2014;192(2):327-35. PubMed
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