FDG PET/PET-CTの読影
FDG PETの基礎知識
・一度に全身を撮影でき、侵襲性が少ない検査である。
・しかし、被ばくの問題がある。検診ならばコストの問題もある。
・糖代謝を反映する画像であり、腫瘍のみならず炎症など良性病変においても集積をすることがある(良悪性の鑑別には限界がある)。
・また生理的集積について熟知しておく。
・病期診断、再発診断、治療効果判定に有用な検査である。(治療効果判定はリンパ腫以外保険適応外)
・PETで小さな病変が見つかることがあるが、画像分解能はCTよりも遥かに劣る。
・SUVは同一患者で比較することに意味がある。様々な要素により動くので、値だけで良悪性の評価は危険。
・検査前に絶食することが大事。
・保険適応疾患と、病態をきちんと知っておく。
PET CTの2種類の検査目的
PET CTが撮影される目的
・がん検診(保険適応外):1割
・精査目的(保険適応内):9割
・この両者では書くべきポイントは異なる。
・がん検診(保険診療外)ならば病変の発見、拾い上げが目的であるので、疑わしい所見をすべて拾い上げる。
・一方、精査目的では、見るべき所を重点的に見て、治療前であれば、がん取扱い規約、UICC分類に準じた詳細な所見が求められる。
・治療後であれば、集積や大きさの変化、SUVの変化を明記する。
・治療効果判定には悪性リンパ腫ならばIWC、固形癌であればEORTCやPERCISTなどの判定基準が提唱されている。
・原発巣の評価には有用性が低い癌腫もあるが、再発、転移、治療効果判定には役立つ場合がしばしば見られる。
例)胃癌、腎癌、GIST、前立腺癌は原発巣の集積が低くても転移、再発巣の集積が強い場合がある。
読影手順
step1 集積を見つける。
step2 集積の位置を見る。
※注意:PET/CTでも厳密には一致しない。呼吸、蠕動、膀胱の大きさにより影響を受ける。
step3 集積の強さを見る。
※悪性=集積強いとは限らない。原発巣と転移巣の集積が異なる(転移巣の方が強い)事がある。
step4 集積の形を見る。
step5 集積の分布を見る。
集積の強さについての解釈
・FDGの集積が強いということは活動性が高いということで、確定診断を要する。
・一方で、集積が弱いということは、活動性が低いということで経過観察でも可能。(ただし、例外には注意が必要)
その他読影のポイント
・消化管はぺしゃんこになると生理的集積が増大するため、大腸にairを入れる。胃の集積も同様なので、水を飲んでもらう。
・生理的集積や原発巣の強い集積に隠れた病変を見落とさない。
・Windowレベルと幅を変えて読影する。
・後期相をうまく使う。1時間後が早期相。それ以後は後期相。
・全身をくまなく見る。重複癌、転移。
※初診患者にPETしたら5.7%に重複癌を認めたとの報告あり。
・リンパ節の評価にはリンパ流を考慮する。
※肺のリンパ流:所属リンパ節→葉気管支間リンパ節→肺門→縦
治療効果判定におけるPETの診断基準
・至適撮像時期が規定され、化学療法単独ならば、治療終了後最低3週間、できたら6−8週間空ける。放射線療法もしくは放射線化学療法ならば治療終了後最低3週間、できたら8−12週空ける。
・視覚評価で十分。SUVは必ずしも必要ない。
・最大径2cm以上の腫瘤であれば縦隔の血液プールの集積を標準として比較する。
・最大径1cm以下の腫瘤であれば血液プールレベルの集積を陽性として判断する。
EORTCのクライテリア
・CMR(Complete metabolic response):異常集積が完全に消失、周囲組織と判別ができなくなる。
・PMR(Partial metabolic response):化学療法1サイクル後のSUVが15%±25%、治療終了後のSUVが25%以上減少。
・SMD(Stable Metabolic Response):SUVの変化が-15%〜+25%でかつ集積の範囲の拡大が長軸方向で20%以内におさまる。
・PMD(Progressive Metabolic Response):SUVの増加が25%以上、もしくは集積の範囲が長軸方向に20%以上の増加、もしくは新病変の出現。
治療効果判定のまとめ
・PETは壊死巣や線維化組織と残存腫瘍の鑑別が可能(腫瘍のviabilityを見ることができる)であり、治療効果判定に有用性が高い。
・しかし、保険適応でないという問題がある。「再発疑い」として検査するしかない。
・SUVは、縦隔リンパ節腫大の診断に役立つ。化学療法の効果判定に使える。再現性あり。正常組織の値は安定している。
・SUVの補正法:体重補正、血糖値レベルによる補正、呼吸同期法による体動補正。