肋軟骨の石灰化
- 早い人で思春期から20歳くらいから始まる。
- CTによる検討では20−80歳の正常成人の88%で石灰化が認められると報告あり。
- 組織学的には石灰化(calcification)ではなく骨化(ossification)で、加齢性の退行変性ではなく、正常な成熟過程と考えられている。
- 特に第1肋骨でよく見られ、左右差を有することが多いため、胸部レントゲンで肺癌が疑われることがある。石灰化は下方に伸長し、肋骨面の上縁に突出することが少ないことが鑑別の一助となる。
- 第1肋軟骨の石灰化が最も早く始まり、第2肋軟骨の石灰化が最も遅い。第1肋軟骨の石灰化を除けば下位肋軟骨優位となる。
- 肋軟骨の石灰化には性差があり、男性は辺縁主体(marginal calc.)に、女性は中心部主体(central calc.)に石灰化する傾向にあるため、男性ではカニの爪状になり、女性では槍状、ときに充実性結節様、弾丸様に見える。性差には女性ホルモンの関与が考えられている。
参考文献:
- 画像診断 Vol.40 No.11 増刊号 2020 P18
- 画像診断 Vol.40 No.8 2020 P858