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単純ヘルペス脳炎
- herpes simplex virus(HSV-Ⅰ)によるウイルス性脳炎。
- 治療の遅れは予後不良に繋がるため、疑いがあればすみやかなアシクロビルの投与必要(未治療の場場合、70%の死亡率)
- 症状:発熱、頭痛、人格障害、意識障害、失語など。
- 抗体価上昇、ウイルスの証明、PCR法で診断する。
単純ヘルペス脳炎の画像所見
- 辺縁系脳炎(前頭側頭葉、帯状回、島皮質、角回)にしばしば両側性(多くは左右差がある)。
- 初感染は大部分が、側頭葉の内側。初期は限局性でも急速に広がり、反対側に進展する。
- T2WI、FLAIRにて高信号。出血を来す事がある。やや経過すると脳回や髄膜に沿った造影効果。FLAIRの冠状断が有用。
- DWIでは細胞毒性浮腫により拡散低下(ADC低下)、最も早期から病変を検出する事が可能。
- 脳回に沿った線状造影効果(亜急性期)。
- 他の脳症や脳炎と異なり、初期から脳弓(Papez回路の主要部位)への浸潤を認める事が多いのが特徴。
- 基底核は侵されにくく、外包で境界。
- SPECTによる脳血流シンチも有用で集積亢進を認める。
症例 30 歳代の男性。1 週間前から感冒様症状が出現し,意味不明な言動,38℃ 台の発熱。
(2013年放射線科診断専門医試験問題65より引用。)
左の側頭極優位に集積増大を認めており、血流増加あり。発熱あり。ヘルペス脳炎を疑う所見。
症例 80 歳代の女性。左顔面~頸部の発汗,発熱,嘔吐で発症。その後徐々に意識障害をきたし,来院。
(2008年放射線科診断専門医試験問題61より引用。)
MRIではT2WIおよびFLAIR像にて右優位に側頭葉内側に高信号を示しており、脳血流シンチでは同部位に集積亢進あり。
症例 40 歳台の男性。1 週間前から感冒様症状が出現した。その後,高熱,意味不明な言動,全身けいれん, 意識障害が出現したため来院し,緊急入院。
(2009年放射線科診断専門医試験問題62より引用。)
右優位に、両側側頭葉内側優位にCTにて低吸収域あり、MRIではT2WIおよびFLAIR像にて高信号を示しており、脳血流シンチでは同部位に集積亢進あり。エピソードからもヘルペス脳炎を疑う所見。
症例 47 歳の男性。けいれん発作と意識障害。
2005年放射線科診断専門医試験問題6より引用。
右の側頭内側〜島皮質および皮質下にかけてDWIおよびFLAIRにて異常な高信号あり。単純ヘルペス脳炎を疑う所見。
■ヘルペス脳炎の鑑別診断は?
- 非ヘルペス性辺縁系脳炎
- 内側側頭葉硬化症(海馬硬化症)
- 急性期脳梗塞
- 痙攣後脳症
- 神経膠腫など
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