単純ヘルペス脳炎
- herpes simplex virus(HSV-Ⅰ)によるウイルス性脳炎。
- 治療の遅れは予後不良に繋がるため、疑いがあればすみやかなアシクロビルの投与必要(未治療の場場合、70%の死亡率)
- 症状:発熱、頭痛、人格障害、意識障害、失語など。
- 抗体価上昇、ウイルスの証明、PCR法で診断する。
- 脳梗塞様の症状、経過および画像所見を呈することがあり、初診時に発熱を欠くことがある。
単純ヘルペス脳炎の画像所見
- 辺縁系脳炎(前頭側頭葉、帯状回、島皮質、角回)にしばしば両側性(多くは左右差がある)。
- 初感染は大部分が、側頭葉の内側。初期は限局性でも急速に広がり、反対側に進展する。
- T2WI、FLAIRにて高信号。出血を来す事がある。やや経過すると脳回や髄膜に沿った造影効果。FLAIRの冠状断が有用。
- DWIでは細胞毒性浮腫により拡散低下(ADC低下)、最も早期から病変を検出する事が可能。
- 脳回に沿った線状造影効果(亜急性期)。
- 他の脳症や脳炎と異なり、初期から脳弓(Papez回路の主要部位)への浸潤を認める事が多いのが特徴。
- 基底核は侵されにくく、外包で境界。
- SPECTによる脳血流シンチも有用で集積亢進を認める。
■ヘルペス脳炎の鑑別診断は?
- 非ヘルペス性辺縁系脳炎
- 内側側頭葉硬化症(海馬硬化症)
- 急性期脳梗塞
- 痙攣後脳症
- 神経膠腫など
症例 60歳代男性
引用:radiopedia
右側頭葉内側にDWI高信号、ADC低値、FLAIRで高信号あり。
ヘルペス脳炎を疑う所見です。
(腰椎穿刺が施行され、PCR で HSV-1 DNA が検出されました。 患者は腎移植のために免疫抑制されていました。)