空腸では異常はなくてもあたかも壁肥厚があるため注意が必要です。
通常空腸はほぼ常に虚脱しているため、収縮した壁は正常でも厚く見えるためです。
腸閉塞症例などでこの空腸を閉塞機転などと間違えないようにしましょう。
もし、空腸に病的な壁肥厚があるならば、3層構造を保った壁肥厚となります。
具体例を見てみましょう。
【症例】40歳代 女性 腹痛、嘔気・嘔吐
腸閉塞症例です。
拡張した空腸に連続してあたかも壁肥厚様に見える空腸があります。
一見壁肥厚があり、この部位が閉塞機転となって腸管が拡張に見えるかもしれませんが、3層構造は明瞭化しておらず、単に虚脱している正常空腸であることが分かります。
同部が閉塞機転となっているわけではなく、腸閉塞の腸管の拡張がこの手前までおよんでいるため、このように見えるということです。
ちなみに、3層構造を保った壁肥厚(target waterパターン)を小腸で認めた場合は、以下の様な疾患を鑑別に挙げる必要があります。