
松果体って、脳のどこかにあるものなんだろうということは、なんとなくわかるけど・・・。
どこにあるのか詳しい位置をご存知ですか?
脳の解剖図を見ると、いくつもの部位があり、さまざまな神経と繋がっているというのがわかりますが、どんなものでどこに位置するのかご存知ない方も多いですよね?
脳の中でも松果体は、「第三の眼」とも呼ばれる不思議な部位でもあります。
今回はその、松果体(「しょうかたい」英語表記で「Pineal」)について
- 場所
- 機能
- 起こる病気
などを、図や実際のCT、MRI画像とともに解説したいと思います。
先に結論:松果体(しょうかたい)とは・どこにある?
- 読み方:松果体は「しょうかたい」と読みます。英語ではpineal gland(パイニアル・グランド)、松果腺とも呼ばれます
- 場所:脳のほぼ中心、左右の視床の後ろで、中脳(上丘)のすぐ上にある松ぼっくりの形をした小さな器官(長さ約5〜9mm・重さ100〜180mgほど)。第三脳室の後ろの壁がふくらんでできています
- 役割:ホルモンのメラトニンを出す内分泌器官で、眠りと目覚めのリズム(体内時計)にかかわります。目からの光の情報が視交叉上核を通して伝わるうえ、魚類・両生類・爬虫類では松果体(頭頂眼)そのものが光を感じる器官であることから「第三の眼」とも呼ばれます
- 大人では石灰化(脳砂)がよく見られ、頭部CTで白く写りますが、多くは生理的なもので心配いりません。病気には松果体腫瘍・松果体嚢胞があります
松果体の場所は?
松果体は、脳の中心にあるマツカサ状の小体で、長さ約5〜9mm・幅約1〜5mm、重さ100〜180mgほどの小さな器官です(Gheban et al. 2019)。
マツカサ・・・つまり、松ぼっくり!
マツカサ状だから、松果体という名前がつけられたんです。
形的にはマツカサ状なものの、大きさ的にはコーンの粒やグリーンピースをイメージしていただくと、わかりやすいかと思います。
また、この場所をもっと詳しく説明すると、専門的にはなりますが・・・

- 手綱交連の後方
- 視床の後方
- 視床枕と中脳の上丘との間の陥凹部
- 上丘のすぐ上
にあり、上の図(イラスト)のように、第三脳室の後壁が背側に膨隆してできた構造です。
(なお、上の図は脳を真ん中で真っ二つにして、横から見ている状態となります。)
頭の外から見ると、左右の耳の間・前後のほぼまん中の、脳の奥深くにあたります。頭の表面から触れることはできない、脳の奥深くの器官です。
松果体の場所を実際のMRI画像で確認してみましょう。
症例 30歳代男性 スクリーニング MRI T2強調像

まずは脳のMRIのT2強調像の横断像(輪切りにした図と考えてください)です。
脳の真ん中のライン上に松果体が位置していることがわかります。
続いて、先ほどの図と同じような横からみたMRIが以下の通りです。

T2強調像の矢状断像といいます。
図と同じ場所に松果体があることが確認できますね。
松果体とは?どんな機能をしている?
松果体は脳にある内分泌器官で、
- メラトニンやセロトニンを生成
- 視床下部を介して性腺刺激ホルモンの放出を抑制
する働きをしています。
どういうことかというと・・・
松果体から出るメラトニンは夜に多く、昼に少なく分泌され、概日リズム(体内時計)の調節にかかわります。このリズムは、体内時計の中枢である視交叉上核(しこうさじょうかく)に支配されています。
視交叉上核とは、第三脳室の左右に存在する時計中枢のようなものです。
どうして脳の中心にあるはずの松果体が、概日リズムを制御できるのかを説明します。
網膜(目)からの刺激を受けた視交叉上核が、交感神経を介して松果体をコントロールしているため、松果体の活動が日内リズムを示していると考えられています。また、魚類・両生類・爬虫類では松果体(頭頂眼)そのものが光を感じる器官であることから、松果体は「第三の眼」とも呼ばれているのです。

また、この松果体は小児期に発達します。0〜20歳の249人をMRIで調べた研究では、松果体は2歳ごろまで大きくなり、その後20歳まではほぼ同じ大きさで、大きさには個人差が大きいと報告されています(Sumida et al. 1996)。
そして、年齢とともに組織学的に退行性変化が現われ、とくに成人では石灰質の沈着が起こります。
この石灰沈着は、脳砂(brainsand)を認め、CT画像でも生理的石灰化像として観察されることがあるのです。
実際のCT画像を見てみましょう。
症例 20歳代男性 スクリーニング

頭部CTの横断像(輪切り)です。
松果体の生理的石灰化を確認することができます。
(CTでは石灰化は白く見えます。)
松果体の石灰化はとてもよくある所見で、頭部CTを受けた約1万2千人の検討では71.6%にみられ、頭の中の石灰化の中で最も多い場所でした(Yalcin et al. 2016)。子ども(0〜9歳)の頭部CT500例では松果体の石灰化は5%で、3歳未満ではみられませんでした(Whitehead et al. 2015)。小さな子どもで松果体部に石灰化があるときは、腫瘍などがないかを確認することがあります。
松果体に起こる病気は?
ちなみに、松果体に起こる病気の例を挙げると・・・
- 松果体腫瘍(pineal tumor)
- 松果体嚢胞(pineal cyst)
などがあります。
松果体の場所を見てもわかるように、脳の深い位置にあるため、手術が難しい病気であることは、ご理解いただけるかと思います。なお松果体嚢胞は珍しいものではなく、健常成人100人を高分解能MRIで調べた研究では23%に径2mm以上の嚢胞がみられ、長期に経過を追えた例では大きさは変わりませんでした。また松果体部の腫瘍で最も多いのは胚細胞腫瘍です。
松果体でよくある疑問(Q&A)
Q. 松果体は何と読みますか?
A. 「しょうかたい」と読みます。松ぼっくり(松かさ)の形をした器官なので、この名前がつきました。英語ではpineal gland、日本語で松果腺とも呼ばれます。
Q. 松果体は画像でどう見えますか?
A. MRIの矢状断(頭を横から見た断面)で、第三脳室の後ろ・中脳の上に小さな粒として見えます。CTでは、大人の多くで石灰化して白い点として写るため、脳のまん中を知る目印にもなります。
Q. 松果体が石灰化していると言われました。病気ですか?
A. 大人の松果体の石灰化は多くの人にみられる生理的な変化で、ほとんどは心配いりません。大きさや形がふつうと違う、頭痛やものが二重に見えるなどの症状がある、といった場合は、腫瘍や嚢胞がないか確認します。気になる症状があれば医療機関を受診してください。
Q. 松果体嚢胞は手術が必要ですか?
A. 多くは症状がなく、治療はいりません。健康な成人100人の検討で長く経過を追えた例では、症状も大きさの変化もありませんでした(Pu et al. 2007)。まれに大きくなって脳脊髄液の流れをさまたげると、頭痛などの症状が出ることがあります。
参考文献:
解剖学講義P723
イラスト解剖学P447
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P38
病気がみえる vol.7:脳・神経 P5
最後に
松果体について、ポイントをまとめます。
- 脳の中心にあるマツカサ状の小体
- 手綱交連の後方・視床の後方・視床枕と中脳の上丘との間の陥凹部・上丘のすぐ上にある
- 第三脳室の後壁が背側に膨隆してできた構造
- メラトニンやセロトニンを生成する機能がある
- 視床下部を介して性腺刺激ホルモンの放出を抑制している
- 概日リズムを制御している
- 網膜(目)からの刺激を受けた視交叉上核が、交感神経を介して松果体をコントロールしている
- 小児期に発達し、2歳ごろからはほぼ同じ大きさ
- 成人では石灰質の沈着が起こる(脳砂を認める)
脳には様々な神経が通り、部位も細かく分けられ、それぞれの働きも細かく解明されていない部分も多くあります。
ただ、この松果体の働きを見てもわかるように、人間は朝明るくなったら起き、夜暗くなったら寝るというリズムが元々備わっています。
そのリズムが崩れると、体内バランス(脈拍・体温・血圧)も狂ってくるということです。
そのため、体調を整える上でも、規則正しい生活が重要ということがわかりますね。
- Pu Y, Mahankali S, Hou J, et al. High prevalence of pineal cysts in healthy adults demonstrated by high-resolution, noncontrast brain MR imaging. AJNR Am J Neuroradiol. 2007;28(9):1706-1709. PubMed
- Smith AB, Rushing EJ, Smirniotopoulos JG. From the archives of the AFIP: lesions of the pineal region: radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2010;30(7):2001-2020. PubMed
- Gheban BA, Rosca IA, Crisan M. The morphological and functional characteristics of the pineal gland. Med Pharm Rep. 2019;92(3):226-234. PubMed
- Sumida M, Barkovich AJ, Newton TH. Development of the pineal gland: measurement with MR. AJNR Am J Neuroradiol. 1996;17(2):233-6. PubMed
- Yalcin A, Ceylan M, Bayraktutan OF, et al. Age and gender related prevalence of intracranial calcifications in CT imaging; data from 12,000 healthy subjects. J Chem Neuroanat. 2016;78:20-24. PubMed
- Whitehead MT, Oh C, Raju A, et al. Physiologic pineal region, choroid plexus, and dural calcifications in the first decade of life. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(3):575-80. PubMed
あわせて読みたい:松果体嚢胞とは?心配いらない?症状・原因とCT・MRI画像所見(大きさ・水頭症との関係)
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