松果体って、脳のどこかにあるものなんだろうということは、なんとなくわかるけど・・・。

どこにあるのか詳しい位置をご存知ですか?

脳の解剖図を見ると、いくつもの部位があり、さまざまな神経と繋がっているというのがわかりますが、どんなものでどこに位置するのかご存知ない方も多いですよね?

脳の中でも松果体は、「第三の眼」とも呼ばれる不思議な部位でもあります。

今回はその、松果体(「しょうかたい」英語表記で「Pineal」)について

  • 場所
  • 機能
  • 起こる病気

などを、図や実際のCT、MRI画像とともに解説したいと思います。

松果体の場所は?

松果体は、脳の中心にあるマツカサ状の小体で、重さ約0.2g・径 約7×5×3mmの小さな器官です。

マツカサ・・・つまり、松ぼっくり!

マツカサ状だから、松果体という名前がつけられたんです

形的にはマツカサ状なものの、大きさ的にはコーンの粒やグリーンピースをイメージしていただくと、わかりやすいかと思います。

 

また、この場所をもっと詳しく説明すると、専門的にはなりますが・・・

  • 手綱交連の後方
  • 視床の後方
  • 視床枕と中脳の上丘との問の陥凹部
  • 上丘のすぐ上

にあり、上の図(イラスト)のように、第三脳室の後壁が背側に膨隆してできた構造です。

(なお、上の図は脳を真ん中で真っ二つにして、横から見ている状態となります。)

 

松果体の場所を実際のMRI画像で確認してみましょう。

症例 30歳代男性 スクリーニング MRI T2強調像

まずは脳のMRIのT2強調像の横断像(輪切りにした図と考えてください)です。

脳の真ん中のライン上に松果体が位置していることがわかります。

続いて、先ほどの図と同じような横からみたMRIが以下の通りです。

T2強調像の矢状断像といいます。

図と同じ場所に松果体があることが確認できますね。

 

松果体とは?どんな機能をしている?

松果体は脳にある内分泌器官で、

  • メラトニンやセロトニンを生成
  • 視床を介して性腺刺激ホルモンの放出を抑制

する働きをしています。

どういうことかというと・・・

その性腺刺激ホルモンの放出が抑制されることで、概日リズム(体内時計)を制御する作用があり、これは視交叉上核(しこうさじょうかく)に支配されているためといいわれています。

視交叉上核とは、第三脳室の左右に存在する時計中枢のようなものです。

 

どうして脳の中心にあるはずの松果体が、概日リズムを制御できるのかを説明します。

網膜(目)からの刺激を受けた視交叉上核が、交感神経を介して松果体をコントロールしているため、松果体の活動が日内リズムを示していると考えられていて、松果体は「第三の眼」とも呼ばれているのです。

 

また、この松果体は、7歳前後の小児期にもっとも発達します。

そして、年齢とともに組織学的に退行性変化が現われ、とくに成人では石灰質の沈着が起こります。

この石灰沈着は、脳砂(brainsand)を認め、CT画像でも生理的石灰化像として観察されることがあるのです。

 

実際のCT画像を見てみましょう。

症例 20歳代男性 スクリーニング

頭部CTの横断像(輪切り)です。

松果体の生理的石灰化を確認することができます。
(CTでは石灰化は白く見えます。)

松果体に起こる病気は?

ちなみに、松果体に起こる病気の例を挙げると・・・

  • 松果体腫瘍(pineal tumor)
  • 松果体嚢胞(pineal cyst)

などがあります。

松果体の場所を見てもわかるように、脳の深い位置にあるため、手術が難しい病気であることは、ご理解いただけるかと思います。

参考文献:
解剖学講義P723
イラスト解剖学P447
全部見える 脳・神経疾患―スーパービジュアル 徹底図解でまるごとわかる! P38
病気がみえる vol.7:脳・神経 P5

最後に

松果体について、ポイントをまとめます。

  • 脳の中心にあるマツカサ状の小体
  • 手綱交連の後方・視床の後方・視床枕と中脳の上丘との問の陥凹部・上丘のすぐ上にある
  • 第三脳室の後壁が背側に膨隆してできた構造
  • メラニンやセロトニンを生成する機能がある
  • 視床を介して性腺刺激ホルモンの放出を抑制すしている
  • 概日リズムを制御している
  • 網膜(目)からの刺激を受けた視交叉上核が、交感神経を介して松果体をコントロールしている
  • 7歳前後の小児期にもっとも発達
  • 成人では石灰質の沈着が起こる(脳砂を認める)

 

脳には様々な神経が通り、部位も細かく分けられ、それぞれの働きも細かく解明されていない部分も多くあります。

ただ、この松果体の働きを見てもわかるように、人間は朝明るくなったら起き、夜暗くなったら寝るというリズムが元々備わっています。

そのリズムが崩れると、体内バランス(脈拍・体温・血圧)も狂ってくるということです。

そのため、体調を整える上でも、規則正しい生活が重要ということがわかりますね。

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