異所性灰白質についてまとめました。
異所性灰白質とは?
神経芽細胞の遊走障害により、灰白質が本来存在しない白質に存在している状態を異所性灰白質と言います。
異所性灰白質は、
- ①脳室上衣下異所性灰白質(subependymal heteropotia)
- ②皮質下異所性灰白質(focal subcortical heterotopia or subcortical nodular heterotopia)
- ③帯状異所性灰白質(band heterotopia or double cortex)
の3つの病型に分類されています。
ただし、③は近年は遺伝子学的研究により、古典型滑脳症スペクトラムに分類される1)ようです。
異所性灰白質の症状は?
いずれのタイプも症状としては「てんかん」が多いとされます。
ただし、タイプにより異なり、
- ①:てんかんの症状は頻度が高いが軽症なことが多く、さらに発症年齢も10-20歳代と遅いことが多い。
- ②:小児期の発症が多い。手術適応となりうる。
- ③:小児期よりてんかんに加えて、発達遅滞を伴うことあり。女性に多い。
という特徴2)が報告されています。
異所性灰白質のMRI画像所見は?
異所性灰白質は灰白質が異所性(白質)にあるため、正常な灰白質と同等の信号を示す点がポイントとなります。
また正常な灰白質と同様に造影効果は認めません。
ちなみにT2強調像における灰白質と白質の信号強度は次のようになります。
脳室上衣下異所性灰白質(subependymal heteropotia)
- 少数の異所性灰白質を脳室壁に認めるもの
- 脳室全体が異所性灰白質に覆われるもの
の2つのタイプがあります。
好発部位は側脳室の三角部、後角、下角部2)です。
鑑別診断として結節性硬化症の上衣下結節が挙がりますが、上衣下結節は石灰化をきたし、灰白質とは異なる信号を示し、また造影効果を認めることがある点が鑑別点1)となります。
皮質下異所性灰白質(focal subcortical heterotopia or subcortical nodular heterotopia)
皮質下に灰白質と同等な辺縁不整な結節として認められます。
では実際の症例を見てみましょう。
症例 20歳代女性
T2強調像の横断像です。
両側側脳室前角及び左側脳室体部に沿って灰白質と同じ信号強度を認めています。
脳室上衣下異所性灰白質(subependymal heteropotia)と診断されました。
参考文献)
1)よくわかる脳MRI 第3版 P348-349
2)臨床画像 Vol.19,No.4増刊号 2003,P148-149