先に結論:頭蓋骨内板の指圧痕

  • 指圧痕は頭蓋骨の内側(内板)が指で押したように波打って見える所見で、小児では正常でも見られます
  • 年長児以降で目立つ・広範囲の場合は、頭蓋内圧の亢進(水頭症・腫瘤)や頭蓋縫合早期癒合症を考えます
  • X線やCTのスカウト像でも確認でき、縫合の状態と脳室の大きさをあわせて評価します

頭部CTの頭蓋骨の内側(内板骨)が波を打ったようにうねうねと曲線を描いている場合や凹みがある場合、どのようなことを考える必要があるのでしょうか。

頭部CTの骨条件で頭蓋骨内板に波打ったような指圧痕を認めたときの鑑別

頭蓋骨の指圧痕のイラスト

  • 水頭症
  • 頭蓋内占拠病変
  • 頭蓋骨縫合早期癒合症

などを鑑別に挙げる。

レントゲン画像やCTのスカウト画像でも認められる。

指圧痕とは?

  • 頭蓋骨内板に指で押しつけたような低濃度の陰影をいくつも認める。
  • 頭蓋内圧の上昇との関係が考えられているが、正常の小児でもしばしば見られる(Desai 2014)。乳幼児270例の頭部CT(骨条件)では128例に指圧痕がみられたが、頭蓋内圧亢進との関連はなかった(Yogi 2026)。
  • 年長児以降で目立つ・広範囲の場合は、上記疾患を考える。ただし指圧痕の目立つ頭蓋(copper beaten skull)は正常でも見られることがあり、頭蓋内圧亢進を拾う所見としての感度は低いとされる。頭蓋縫合早期癒合症の小児123例の検討では、びまん性の指圧痕・鞍背の侵食・縫合離開・脳底槽の狭小化がある群で頭蓋内圧が高かったものの、画像所見による頭蓋内圧亢進の検出感度は全般に低く、スクリーニングには勧められないとされています(Tuite 1996)。

「母指圧痕像」との違い

名前が似ている母指圧痕像(thumbprinting)は頭蓋骨ではなく腸の所見で、腸の壁が粘膜下の浮腫や出血で厚くなり、親指で押したような丸いでこぼこが並んで見えるものです。虚血性大腸炎の早期の代表的な所見で(Alapati 1999)、注腸検査では40例中75%にみられ、発症後10日ほどで消えました(Iida 1986)。

CTの骨条件とは?

CTは表示する濃度の幅(ウインドウ)を変えて見ます。骨条件は幅を広く・中心を高くした表示で、脳などの軟部組織の差は見えにくくなる代わりに、骨の内部構造や内板の凹凸、骨折線が見やすくなります。指圧痕も骨条件で評価します。

参考)画像診断 vol.37 No.13 2017 P1287-1302

参考文献

  1. Desai V, Priyadarshini SR, Sharma R. Copper Beaten Skull! Can It be a Usual Appearance? Int J Clin Pediatr Dent. 2014;7(1):47-9. PubMed
  2. Tuite GF, Evanson J, Chong WK, et al. The beaten copper cranium: a correlation between intracranial pressure, cranial radiographs, and computed tomographic scans in children with craniosynostosis. Neurosurgery. 1996;39(4):691-9. PubMed
  3. Zipfel J, Jager B, Collmann H, et al. The role of ICP overnight monitoring (ONM) in children with suspected craniostenosis. Childs Nerv Syst. 2020;36(1):87-94. PubMed
  4. Yogi A, Yoshida T, Imanaga N, et al. Diagnostic performance of digital markings on head computed tomography for evaluating intracranial hypertension in neonates and infants. Jpn J Radiol. 2026;44(5):895-904. PubMed
  5. Alapati SV, Mihas AA. When to suspect ischemic colitis. Why is this condition so often missed or misdiagnosed? Postgrad Med. 1999;105(4):177-80, 183-4, 187. PubMed
  6. Iida M, Matsui T, Fuchigami T, et al. Ischemic colitis: serial changes in double-contrast barium enema examination. Radiology. 1986;159(2):337-41. PubMed

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