先に結論:胸部X線を読むための解剖
- 胸部X線では、肋骨の高さ(前肋骨・後肋骨)を目安に位置を表し、気管分岐部は第5〜6胸椎、横隔膜は第10後肋骨・第6前肋骨くらいの高さが目安です
- 左肺動脈は左主気管支を乗り越えるため、肺門は左が右より少し高いのが正常です。この関係が逆転すれば無気肺などを考えます
- 立位の正常では下肺の血管のほうが太く多く、上肺の血管が目立つ(血流の再分布)ときは肺うっ血を疑います
胸部レントゲンを読影する上で知っておくべき解剖をまとめました。
肋骨の高さと肺の位置関係、肺区域の目安、気管支の位置関係、肺動脈の位置関係、その他知っておくべきことについて掲載しました。
胸部レントゲンを読影する上で知っておくべき解剖

研修医
胸部レントゲンが苦手です。
指導医
それでは今回は胸部レントゲンで知っておくべき解剖について実際の画像を見ながら解説していきます。
骨と高さの位置関係は?
胸郭を形成する骨
- 胸郭を構成する骨は胸骨、肋骨、肋軟骨、胸椎である。
- 第1〜7肋骨は肋軟骨を介して胸骨と直接連結し、第8〜10肋骨は上の肋軟骨を介して間接的に連結するが、第11、12肋骨は連結しない。
指導医
肋骨や胸骨は体表にて位置を表す指標として重要です。
- 鎖骨も高さを表す目安になる(肺尖部と上肺野の境目)。
胸部レントゲンで見える骨の解剖についてはこちらで詳しく解説しています。→胸部レントゲンの正常解剖の読み方をわかりやすく!〜骨編〜
- carina(気管分岐部)は成人の場合、第5〜6胸椎レベルにあることが多い(CTでの検討;Shen 2016)。

- 横隔膜は左が右より低いことが多い。右には肝臓があり、左は心臓がのっているため。

- 横隔膜は第10後肋間、第6肋骨前縁くらいが目安とされる。第6-7肋骨の前縁が横隔膜にさわる程度が正常の目安。

- 第6-9肋骨下縁は尖っており、不明瞭でもn.p

胸部レントゲンの解剖が学べる画像診断ツール→胸部レントゲン読影の基本!正常画像の解剖を押さえよう。
肺区域の目安は?
- 肺尖部:鎖骨より上方。
- 上肺野:鎖骨から第2肋骨前縁
- 中肺野:第2肋骨前縁から第4肋骨前縁
- 下肺野:第4肋骨前縁から横隔膜弓隆部

- 肺門部:第2次気管支まで
- 末梢部:第3次気管支より末梢側

気管支の位置関係は?
- 上葉気管支は右が左よりも高い。


肺動脈の位置関係は?
- 左肺動脈は左主気管支を乗り越える!
→肺動脈は左が高い。
→肺門は左が少し高い。


胸部レントゲンの解剖が学べる画像診断ツール→胸部レントゲン読影の基本!正常画像の解剖を押さえよう。
その他知っておくべきこと
A3bとB3bとは?

指導医
A3bは動脈、B3bは気管支です。いずれも前後方向に走行するため、正面像のレントゲンでは、輪のように見えます。
CTで見ると明らか!

- B3bは心不全などで気管支血管周囲腔が肥厚すると壁が厚くなりぼけてくる!!
血管の賑やかさは?
- 循環器のレントゲンを見るときに重要。
- 立位の正常では、上肺より下肺のほうが血管が太く多い(賑やか)。
- 肺鬱血が進行すると、徐々に上が賑やかになってくる。


関連記事:胸部CTで知っておくべき正常変異・先天奇形の画像所見まとめ
参考文献:ビギナーのための胸部画像診断 P10-13
関連記事)
- 【保存版】肺がん検診に!胸部レントゲン読影で知っておくべき7つの境界線
- 胸部レントゲンの正常解剖の読み方をわかりやすく!〜骨編〜
- 胸部レントゲン写真の読み方は?〜気管・気管支編〜
- 胸部レントゲンの所見で異常所見あり!?どんな病気が考えられる?
参考になれば幸いです( ´∀`)
- Lennon EA, Simon G. The height of the diaphragm in the chest radiograph of normal adults. Br J Radiol. 1965;38(456):937-943. PubMed
- Gibbs JM, Chandrasekhar CA, Ferguson EC, et al. Lines and stripes: where did they go?–From conventional radiography to CT. Radiographics. 2007;27(1):33-48. PubMed
- Raoof S, Feigin D, Sung A, et al. Interpretation of plain chest roentgenogram. Chest. 2012;141(2):545-558. PubMed
- Shen XH, Su BY, Liu JJ, et al. A reappraisal of adult thoracic and abdominal surface anatomy via CT scan in Chinese population. Clin Anat. 2016;29(2):165-174. PubMed
実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの胸部X線の正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。
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気管分岐部についてですが、
多くの成書で、胸骨角の高さ、Th4-5と言われてると思うのですが、
実際には、Th6なのでしょうか?
コメントありがとうございます。新生児期にはTh2-3レベル、10歳でTh4-5レベル、成人でTh5-6レベルですね。
http://medicalimagecafe.com/tool/chestXray.html
こちらでもTh5-6レベルに存在しています。Th6といっても上の方で、Th5-6レベルというのが正しいのかもしれません。
肺結節影がみぎ鎖骨と肋骨の間 端よりにボヤと見え検査指摘 他の循環器のデジタルレントゲンでは見えない精密に見るならCTになる その画像をかかりつけの内科に見せたらここと指摘され紹介状渡されましたが怖く動揺してます
11枚目画像、左A3bが2ヵ所あります。
コメントありがとうございます。
右は右の誤りですね。