Non-mass enhancementならばその特徴を3つに分けて記載します。

Non-mass enhancementとは非腫瘤性増強効果(非腫瘤性病変)

  • 乳腺組織に増強効果が生じているように見える
  • Mass effect なし。T1、T2強調像でわかりにくい。
  • 脂肪組織の入り込み。

といった特徴を持ち、鑑別で最も重要なのは非浸潤性乳管癌(DCIS)であり、悪性ではこれを第一に想定しています。

その他、浸潤性小葉癌、乳腺症、乳頭内乳頭腫など。が挙げられます。

Non-mass enhancementで検討すべき3項目

  • Distribution(分布) 
  • Internal enhancement pattern(内部増強パターン)
  • Symmetric or asymmetric(対称性(両側撮像時))

※Time intensity curve解析の有用性は低い(ROI設定が小さくて困難となることや、遅延性増強効果を呈することも多いため)。

step1 分布はどうか?(Distribution)

  • Focal area(局所領域):乳腺quadrantの25%以下の大きさ。良悪性どちらもあり。
  • Linear(線状)
  • Ductal(乳管様):乳頭に向かって走行、時に枝分かれ。悪性多い。
  • Segmental(区域性):乳管の分布に一致した、尖部が乳頭方向を向く楔状。悪性多い。
  • Regional(領域性):乳管の分布に一致しない。大きな地図状。乳腺quadrantの25%以上の大きさ。良悪性ある。
  • Multiple regions of enhancement(多発増強領域):大きな地図状の増強効果が2カ所以上。
  • Diffuse(びまん性):乳腺全体に均一に広がる増強効果。
Distribution pattern
▶乳管様(Ductal pattern)とは?

Ductal pattern

※乳管の分布に一致する分布→悪性を考慮。

step2 内部増強パターンはどうか?(Internal enhancement pattern)

  • Homogenous(均一):一様な均一な染まり。良悪性あり。
  • Heterogeneou(不均一):不揃いで不均一な染まり。良悪性あり。
  • Stippled/punctate(点状):同じような点状・粒状の増強効果。良性が多い。
  • Clumped(集塊状、敷石状、ブドウ房状、ビーズ状増強効果)
  • Reticular/dendritic(網状、樹枝状):不整な屈曲、歪曲する網状の増強効果。悪性。
  • Clustered ring enhancement(微小なリング状増強効果の集簇):BI-RADS-MRI 2ndで採用予定。
▶Clumped enhancementとは?
  • Clumpedは集塊状、敷石状、ブドウ房状、ビーズ状増強効果。
  • 小結節状の増強効果が集簇し、時に融合するような増強効果。
    ※結節状濃染の集簇→複数の腺管が線維性の間質により取り囲まれていることを示唆。
  • 悪性を示唆する所見。
  • 同時にDuctalあるいはSegmentalな分布を示す場合は非浸潤性乳管癌をまず考える。

clumped

▶Clustered ring enhancementとは?
  • 微小なリング状増強効果の集簇。おそらく乳管病変周囲の浮腫、炎症を反映。
  • MMGでは石灰化として認められる。
  • High gradeの非浸潤性乳管癌に好発。
  • 後期相で観察されやすい。
  • BI-RADS-MRI 2ndで採用予定。

clustered

Tozaki M:Breast MR imaging using the VIBE sequence,AJR 2006

症例 clustered ring enhancement

Non-mass enhancementのどんなパターンが悪性を示唆するか?

malignant

  • 分布(Distribution)では、Linear, Ductal , Segmental
  • 内部造影効果(Internal enhancement patterns)では、Clumped、Clustered ring enhancement、Branching-ductal pattern

Non-mass enhancementの読影の進め方

  • 撮像された時相で違ってみえることもしばしば。
  • 早期相、後期相のよく描出されている方で観察
  • 多方向から観察、MIP画像も役立つ。
  • 組織では非浸潤性乳管癌(DCIS)を主体とする病変であることが多い。
  • 分布が左右対称性なら良性(乳腺症など)と考える
  • 種々の内部増強パターンが混在していることや分類に迷うものも多い。
  • 悪性を示唆するマンモグラフィー上の石灰化はMRIではnon-mass enhancementとして描出されることがある。

ダイナミックのカーブはチェックしなくていいんですか?

Non massの場合は、massのような塊ではないので、ROIの設定が小さくて困難になりますし、遅延性に造影されることも多いので、基本的にダイナミックカーブの評価は不要と考えられています。

Non-mass lesionの形態と血流情報による読影

BI-RADSカテゴリー MRIでの所見
>カテゴリー 5
  • 区域性の分布で微小なリング状増強効果の集簇(Segmental distribution and clustered ring enhancement)
>カテゴリー 4b
  • 区域性の分布(Segmental distribution)
  • 乳管に沿った分枝状(Branching ductal pattern)
  • リング状増強効果の集簇(clustered ring enhancement)
  • 粒の集まり(Clumped architecture)
>カテゴリー 4a
  • 乳管に沿った線状(Linear ductal pattern)
>カテゴリー 3
  • カテゴリー4,5以外

(Tozaki M,Fukuma E AJR193:840-849,2009を改変)

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