ゼヴァリン®(90Yイブリツモマブチウキセタン)による悪性リンパ腫の治療
- 国内初のRI 標識抗体療法。
- CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に用いられる。
- まず診断用に投薬1回を行い、次に、治療用の投薬1回を行い終了。ただし、その際に、治療用の投薬を行う前に、本当に行って良いのかを診断する必要がある。
細かいStepは以下のとおり。
Step1 111INインジウムで標識したイブリツモマブチウキセタン(インジウム111標識ゼヴァリン(111In ゼヴァリン))を投与。
Step2 48時間後に、シンチグラフィーにより撮影し体内分布を確認。
Step3 問題なければ1週間後に、治療目的でイットリウム90標識ゼヴァリン(90Y ゼヴァリン)を投与。(β線による内部照射による放射線治療を行なう。)
なぜ90Y投与前に、111Inを投与するのか?
- 90Yと111Inは化学的性質が類似しているから。
- 90Yはβ線のみを放出するので画像化できない。治療にのみ用いる。
- 一方111Inはγ線を放出するため画像化して分布を見ることができる。
問題のある体内分布とは?
- 著明な骨髄へのびまん性の取り込み(骨シンチのスーパースキャンに似た集積)
- 肝臓、脾臓、骨髄への局在的な集積(網内系への取り込み)
- 正常臓器への集積異常
①肺>肝へのびまん性集積
②後面像で、腎>肝への集積
③正常腸管>肝への集積かつ経時的変化がみられないもの
原則禁忌の場合は?
- 骨髄のリンパ腫浸潤率が25%以上
- 好中球1,200/m㎥未満、血小板数100,000/m㎥未満
- 造血幹細胞移植治療の既往
- 骨髄の25%以上に外部放射線照射を受けた既往
どのような腫瘍に効果的か?
- 悪性度が低い腫瘍。
- 前治療の回数が少ない場合。
- 早期の小さな腫瘍には特に有効。
その他
- 副作用が少ない。
- アイソトープ治療病室への入室は不要。