鼓室グロムス腫瘍(glomus tympanicum)
- グロムス腫瘍(傍神経節腫:paraganglioma)は、グロムス小体(傍神経節)より発生する腫瘍。頭頸部では、部位により分類される。
▶︎頭頸部のグロムス腫瘍
- 頸動脈小体腫瘍(carotid body tumor)
- 鼓室型グロムス腫瘍(glomus tympanicum)
- 頸静脈型グロムス腫瘍(glomus jugulare)
- 迷走神経小体腫瘍(glomus vagale)
- 好発年齢は40-60歳代。
- 男女比は1:5で女性に多い。
- 一般的に発育は緩徐。
- 拍動性耳鳴をきたす疾患として重要。他、伝音性難聴、耳痛、顔面神経麻痺など。
- 耳鏡で、鼓膜後方の拍動性赤色腫瘤が特徴的。
- 局在から、Jacobson神経(Ⅸの鼓室枝)に発生する鼓室内グロムス腫瘍(glomus tympanicum)、Arnold神経(Ⅹの耳介枝)に発生する頸静脈グロムス腫瘍(glomus jugular)に分類される。
- 頸静脈孔(jugular foramen)は、下のように小さな前内側部(神経部)と頸静脈が通る後外側部(血管部)に分けられる。ⅨからJacobson神経が出て、ⅩからArnold神経神経が分枝する。
- 治療は、外科的切除。血流の多い腫瘤であり、手術前に塞栓術を施行することあり。
鼓室グロムス腫瘍の画像所見
- 蝸牛岬角に接した軟部腫瘤。骨破壊や周囲への浸潤はなし。
※頸静脈型グロムス腫瘍では、鼓室底に浸潤性骨破壊を認める。頸静脈孔周囲骨の虫食い状破壊性変化を伴うことが多い。 - 造影CTやMRで強い造影効果を認める。
- T2WIで、腫瘤周囲の拡張した血流の早い血管が低信号のflow voidとして認める。
- 一方T1WIでは、亜急性期の出血、血流の遅い血管を点状の高信号を呈して、salt and pepper appearanceとよばれる。
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