骨Paget病とは?

  • 中年から高齢者に好発する。人口の1-2%。
  • 原因は不明。パラミクソウイルスによるslow virus infectionや遺伝子異常とも言われる。骨吸収と骨形成の過程が互いに異常に進み(リモデリングの異常亢進)、骨の肥厚・変形を起こす。
  • 症状は、骨の肥厚および変形による疼痛、局所の熱感、骨病変。頭痛は夜間に多い。耳小骨の変化による難聴。血管に富む結合組織の増殖を認め、心拍出量が増加し、心肥大、心不全を来すことあり。
  • 血液検査所見では、ALP高値が見られる。(Ca,Pはほぼ正常)また尿中ハイドロキシプロリンが上昇。
  • 合併症は、病的骨折や骨腫瘍の発生。罹患骨の血流増加による心肥大。
  • 骨Paget病に発生する腫瘍は、骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫。de novoに発生した骨悪性腫瘍より予後が不良。
  • 破骨細胞活性→溶骨性変化(初期)→造骨細胞活性が混在(中期)→造骨性変化(後期)が優位となる順に進行する。
  • 好発部位は、腰仙椎、頭蓋骨、骨盤骨、大腿骨
  • 男性に多く50-60歳代に多い。
  • 治療はビスホスフォネート。
  • 本邦ではまれとされてきたが、担癌患者の骨転移スクリーニングで見つかることがある。

骨Paget病の病期分類

  • 初期(骨融解期)と中期(混合期)、後期(骨硬化期)に分けられる。
  • 初期(骨融解期):骨吸収が優勢。(骨芽細胞の増殖による)
    →頭蓋骨で骨硬化を伴わない大きな溶骨性変化=osteoporosis circumscripta。
  • 中期(活動期)(混合期):骨吸収、形成ともに亢進し、綿花状の骨硬化(cotton wool appearance)を来す。
  • 後期(骨硬化期):骨形成が優勢。
    骨皮質の肥厚に加えて骨全体が大きくなる。椎体では、picture frameと呼ばれる骨皮質の対称性肥厚。この時期は、骨シンチで集積。

骨PAGET病の画像所見

  • 単純X線が特徴的で、CTやMRIは必要としないことが多い。
  • 単純X線にて骨吸収・骨形成がどちらか一方あるいは混在してみられる。
  • 骨皮質の肥厚をみとめ、頭蓋骨では、早期は大きな溶骨性変化=osteoporosis circumscriptaをみとめ、晩期には、硬化性病変=cotton wool appearanceを認める。
  • 成熟した骨のturn overが場所により異なるため、一部では緻密であり、一部ではそうでない、まだらな骨硬化となる。

症例 60歳代女性 数年来続く左側骨盤部痛。時折、同部位の熱感を訴える。

引用:radiopedia

左側の腸骨翼、隣接する左仙骨外側塊、大腿骨頭を含む左半骨盤全体に粗い骨構造と骨硬化の増加を認めています。

不規則で高密度の骨梁構造は、海綿骨および皮質骨の両方に及んでいます。

生検により骨Paget病と診断されました。

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