神経芽腫(神経芽細胞腫、Neuroblastoma)
・小児でもっとも多い腹部腫瘍(1/8000の頻度)。
・表面不整な腹部腫瘤として発症する。増大すると正中線を超えることがある。
・腫瘍が産生するVIPのため、難治性下痢をきたす事がある。
・原発 副腎(48%)>後腹膜(25%)>縦隔(16%)>頚部で片側性。
・カテコラミン代謝産物の尿中排泄(VMA、HVA)が上昇する。
・5歳以下(初発中央値は16ヶ月)、1歳半以下は予後良好。それ以後発症は予後不良。
・70%の症例に転移あり。リンパ節、骨髄、骨、肝、胸膜などに。肺、脳転移はまれ。
・CTでは不均一な充実腫瘤として描出され、80%に石灰化を伴う。
・転移の診断には123I-MIBGシンチグラフィーが重要。6時間後、24時間後撮影するが、24時間後を中心に評価。
・骨格系への集積では、骨あるいは骨髄へ転移するが両者を鑑別する。鑑別するのが骨シンチ。
・肝への転移の評価は他のモダリティも必要。
・病期分類にIDRFs = image-defined risk factorsという概念がある。治療前に画像でリスクファクターを評価する。各臓器にチェックすべきポイントがある。ただし画像による治療効果判定には限界がある。生理的変化も加わる。
・治療は3者集学療法(手術・放射線・化学療法)。病期とN-myc遺伝子の増幅の有無により異なる。
・主な化学療法はvincristine、cyclophosphamide、cisplatin(CDDP)、adriamycin。
・発病年齢が1歳以下の場合、年長児に比べて予後が良い。他、病期、N-myc遺伝子の増幅の有無により左右される。