腸間膜リンパ節炎ともよばれる回腸末端炎のCT画像診断、鑑別、原因、症状についてまとめました。

回腸末端炎(terminal ileitis)

  • 回腸末端に限局した急性腸炎。
  • エルシニア>カンピロバクター、サルモネラ、アニサキスなどが原因菌となる。
    ※カンピロバクター、サルモネラは基本的に右側結腸に炎症所見が強い。回腸末端に限局するのはエルシニアがやはり多い。
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  • 症状は急性腹症(右下腹部痛)や、下痢。白血球増多を伴う。
  • 臨床的には虫垂炎やクローン病の急性期との鑑別は困難。
  • 病理学的には粘膜の浅い潰瘍、著しいリンパ組織増生による粘膜・粘膜下層の著明な肥厚、固有筋層以深の軽度の随伴性炎症性変化。
  • 回腸末端炎が虫垂に炎症波及することは稀であり、画像上鑑別可能なことが多い。

回腸末端炎のCT画像所見

  • 回腸、盲腸に層構造を伴った全周性壁肥厚。壁肥厚は、回腸末端に特に強い。
  • 壁の造影効果増強。
  • 周囲に多数のリンパ節腫大を伴う。
指導医
ただし、回腸末端は正常でも肥厚していたり、回結腸動脈沿いのリンパ節も腫大していることがあるので、症状がなければ、有意でない可能性が高いです。
症例 20歳代女性 右下腹部痛

terminal ileitis

回腸末端の壁の浮腫を認めており、周囲にはリンパ節腫大が散見され、回腸末端炎を疑う所見。

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