一過性全健忘
・急激に起こる一過性の記銘力障害。
・通常50歳以上に認められる。
・近い過去に関する全健忘に加えて、数日-週におよぶ逆行性健忘を伴う。
・発作の持続時間は24時間以内で、平均4-5時間。
・過去の記憶は保持される。
・意識は清明で日常動作には異常なし。ただし、自覚症状あり、不安がることが多い。
・両側あるいは一側の側頭葉下内側面、特に海馬を中心とした領域が病巣部位。
・後大脳動脈の枝のTIAと見なされることが多いが、てんかん説、片頭痛、不整脈を原因とする説もある。
・再発作や脳梗塞への進展は稀。
診断基準(Hodges et al., 1990)
・発作中の情報がその間ほとんど目撃した目撃者から得られる。
・発作中、明らかな順行性健忘が存在する。
・意識障害はなく、高次脳機能障害は健忘に限られる(失語や失行はない)
・発作中および発作後に神経学的局所徴候はない。
・てんかんの特徴がない。
・発作は24時間以内に消失する。
・最近の頭部外傷や活動性のてんかんのある患者は除外する。
画像所見
・DWIで海馬CA1を中心に小さな異常信号を検出できることがあり。
症例 60歳代男性 突然記憶がおかしいと言い出す。2日前くらいの記憶消失。同じ質問を繰り返す。その後10時間程度で症状は消失。