先に結論:心筋シンチの部位と支配血管
- 心筋SPECTでは、前壁・中隔・心尖部は左前下行枝(LAD)、側壁・後側壁は左回旋枝(LCX)、下壁(・後壁)は右冠動脈(RCA)が主に栄養すると考えて読みます
- 負荷時に欠損し安静時に回復すれば虚血、負荷・安静とも欠損なら梗塞(瘢痕)を示します
- 冠動脈の走行には個人差(右優位・左優位)があるため、冠動脈CTや造影の結果と合わせて判断します
- 心筋シンチは、放射性医薬品を注射して心筋の血流を画像にする検査で、負荷時と安静時の画像を比べて狭心症や心筋梗塞を評価します
心筋シンチとは?どんな検査?
心筋シンチ(心筋血流シンチグラフィ、心筋SPECT)は、心筋に取り込まれる放射性医薬品(タリウム製剤やテクネチウム製剤)を静脈から注射し、心臓から出るガンマ線を専用のカメラで撮影して、心筋のどこにどれだけ血液が届いているかを画像にする核医学検査です。
- わかること:狭心症(心筋虚血)があるか、その広さと場所、心筋梗塞のあとの傷あと(瘢痕)の広さ、どの冠動脈が原因か、がわかります。心電図と同期して撮ると、左室の動きや収縮の力も評価できます。
- 検査の流れ:運動(自転車こぎなど)か薬で心臓に負荷をかけた状態で薬を注射して撮影し、安静の状態でも撮影して、2つの画像を比べます。施設や方法によって、同じ日に続けて行う場合と別の日に分ける場合があります。負荷に使う薬の種類によっては、検査前にコーヒーなどのカフェインを控えるよう指示されます。
- 冠動脈CT・カテーテル検査との違い:冠動脈CTやカテーテル造影は血管の形(どこが細いか)を見る検査で、心筋シンチは心筋に血が届いているか(働きの面)を見る検査です。両方を合わせて治療が必要かを判断します。
胸の痛みや圧迫感、動いたときの息切れなど気になる症状があれば、医療機関を受診してください。
冠動脈の番号と、それぞれが栄養する範囲は冠動脈の番号一覧(AHA分類#1〜#15)|RCA・LAD・LCXの解剖と支配領域、覚え方で解説しています。
心筋シンチグラフィの読影の仕方(支配血管と部位の関係)
・心筋 SPECTと、血管、部位の関係は次のよう。
17セグメントモデル
心筋SPECTやPET、心臓MRI・CTで左室を評価するときは、米国心臓協会(AHA)が提唱した17セグメントモデルで記載するのが標準である。左室を短軸で基部・中部・心尖部に分け、基部と中部は6区域、心尖部は4区域、さらに心尖(apex)を1区域として、計17区域に分ける。
- 基部・中部:前壁、前中隔、下中隔、下壁、下側壁、前側壁
- 心尖部:前壁、中隔、下壁、側壁
- 心尖(apex):1区域
区域と冠動脈の対応(標準的な割り当て)
| 冠動脈 | 主に対応する区域 |
|---|---|
| 左前下行枝(LAD) | 前壁、前中隔、心尖部の大部分、心尖 |
| 右冠動脈(RCA) | 下中隔、下壁(基部・中部) |
| 左回旋枝(LCX) | 下側壁、前側壁 |
落とし穴:割り当ては「平均的な」解剖にすぎない
Javadiらは、PET/CTで冠動脈CTの解剖を重ね合わせると、71例中72%で少なくとも1区域が標準の割り当てと異なっていたと報告している。標準ではRCA領域とされる区域がLCX領域へ(振り替えられた区域の39%)、LCX領域とされる区域がLAD領域へ(30%)振り替わることが多かった。冠動脈の解剖に基づいて割り当て直すと、欠損のある領域とそれ以外の領域の差がよりはっきりした。冠動脈CTを撮っている場合は、実際の解剖に基づいて責任血管を決めるべきである。
参考文献
- Cerqueira MD, Weissman NJ, Dilsizian V, et al. Standardized myocardial segmentation and nomenclature for tomographic imaging of the heart. Circulation. 2002;105(4):539-42. PubMed
- Javadi MS, Lautamäki R, Merrill J, et al. Definition of vascular territories on myocardial perfusion images by integration with true coronary anatomy: a hybrid PET/CT analysis. J Nucl Med. 2010;51(2):198-203. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →


中隔はLAD支配と思います。