先に結論:画像診断機器の原理とアーチファクト(試験対策メモ)
- X線管の陽極にはタングステン(マンモグラフィではモリブデン・ロジウムなども)が使われ、PETは陽電子の消滅で反対方向に出る2本のγ線を同時に検出します
- MRIでは折り返し・拍動のアーチファクトは位相エンコード方向に出やすく、化学シフトは高磁場ほど大きく、EPI・グラディエントエコーは磁化率アーチファクトの影響を受けやすいのが基本です
- 折り返しはFOVの外の組織が反対側に重なるもの、磁化率アーチファクトは金属や空気との境界で磁場が乱れるものです(下の表)
X線
・タングステンは X 線管球に用いられる。
※X線管球としては,タングステン,モリブデン,ロジウム,銀などを対陰極(陽極)としたものが使われる。
超音波
・音響インピーダンスに差が大きい部分ほど反射は強く起こりエコー輝度が高くなる。
SPECT
・荷電粒子が結晶に入射したとき閃光を発する物質をシンチレータという。
※γ線の入射エネルギーを蛍光に変換するのがSPECT(NaI)やPET(BGO,LSO,GSO)シンチレータ。
PET
・陽電子は陰電子と結合して消滅するとき,2 本の放射線を正反対の方向に放出する。
※その消滅放射線を感知するのがPET。
MRIの原理 2012など
・MRIは陽子のスピンを画像化したものである。
・折り返しアーチファクトは位相エンコード方向に生じやすい。
※周波数エンコードは短時間で撮る。位相エンコードは時間かかるため、アーチファクトはより生じやすい。位相方向と周波数方向は90°異なる。
・エコープラナー法は磁化率アーチファクトの影響を受けやすい。
※DWIをイメージする。
・拍動流に伴うアーチファクトは位相エンコードの方向に観察される。
・撮像条件を同一とした場合、化学シフトアーチファクトは磁場強度が高いほど大きくなる。
※1.5Tより3Tの方がchemical artifactは大きくなる。
・グラディエントエコー法は,スピンエコー法と比べて磁化率アーチファクトの影響を受けやすい。
・核磁気共鳴現象で縦緩和と関係があるのはスピン-格子相互作用。
・核磁気共鳴現象で横緩和と関係があるのはスピン-スピン相互作用。
・水分子の自己拡散(ブラウン運動)を撮像しているのがDWI。
・k-space を二次元フーリエ変換するとMR画像になる。
・光源に磁界をかけたときに、光スペクトル線が数本に分かれることをゼーマン効果という。
MRIの主なアーチファクト(原因・出る方向・対策)
| アーチファクト | 原因 | 出やすい方向・条件 | 主な対策 |
| 折り返し | FOVの外の組織が画像の反対側に重なる | 位相エンコード方向 | FOVを広げる、位相オーバーサンプリング、位相・周波数方向の入れ替え |
| 化学シフト | 水と脂肪の共鳴周波数の差で脂肪の位置がずれる | 周波数エンコード方向。高磁場・狭いバンド幅で大きい | バンド幅を広げる、脂肪抑制 |
| 磁化率 | 金属や空気・骨との境界で磁場が乱れ、信号欠損やゆがみが出る | グラディエントエコー法、EPI(DWI)。TEが長いほど強い | スピンエコー法を使う、TE短縮、バンド幅を広げる |
| モーション | 撮像中の体動・呼吸・拍動でゴーストやぼけが出る | 位相エンコード方向 | 息止め、呼吸・心電同期、飽和パルス |
| Nハーフ(N/2) | EPIで偶数・奇数番目のエコーがずれる | 位相方向にFOVの半分ずれたゴースト | 装置の位相補正 |
位相エンコード方向と周波数エンコード方向
- 周波数方向は、信号の読み出し中に傾斜磁場をかけて位置を周波数に置き換える方向で、1回のエコーで情報が得られる。
- 位相方向は、傾斜磁場を1回ずつ変えて繰り返し集める方向で時間がかかるため、その間の動きがアーチファクトになる。2つは直交しており、撮像時に入れ替えることができる。
試験でよく問われる、そのほかのアーチファクト
| アーチファクト | 原因と見え方 | 対策・見分け方 |
|---|---|---|
| 金属 | 金属のまわりで共鳴周波数が大きく変わり、信号の欠損、脂肪抑制の失敗、ゆがみ、信号が盛り上がる像(パイルアップ)が出る(Hargreaves 2011) | 撮像条件やシーケンスの選び方で軽減できる。金属によるアーチファクトを減らす専用の方法もある(Hargreaves 2011) |
| 打ち切り(ギブス) | 信号が急に変わる境界(脊髄と髄液など)に沿って細い縞が出る。脊髄の中の線状の信号が、脊髄症に似て見えることがある(Phillips 2022) | 撮像条件の見直しで対処する(解決法は Morelli 2011 に整理されている) |
| マジックアングル | 磁場に対して約55°で走るコラーゲン線維(腱・半月板など)で、TEの短い画像の信号が上がる。膝の外側半月板後角では、TE20ms未満の画像で、膝を外転させると信号が52〜80%下がった(Peterfy 1994) | TEを長くすると信号が下がる。ウシの腱と人のアキレス腱の検討では、TEが37msを超えると、磁場と平行な腱と同じ程度まで信号が下がった(Peh 1998)。断裂や変性と決める前に、線維の向きとTEを確認する |
| ジッパー・バンド | 画像を横切る線状・帯状の模様。不要な信号やノイズのスパイクによる(Graves 2013) | 原因が多彩なので、撮り直しても出るときは装置側の確認が必要 |
| 送信RFの不均一(定常波) | 画像の一部が暗く、または明るくなる(シェーディング)。磁場強度が高いほど問題になりやすい(Graves 2013) | 撮像条件や装置の補正で対処する(Morelli 2011) |
放射線測定器
・電子なだれを利用する放射線測定器はGM 計数管。
・NaI(Tl)検出器はシンチレーション発光を利用した検出器である。
モニタ
・CT の画像観察では、高精細の医用モニタが推奨される。
・カラーモニタはモノクロモニタの代替とはなる。
・液晶モニタは白黒の方がカラーよりコントラストが高い。
・マンモグラフィの画像観察では、CTよりさらに高精細なモニタが推奨される。
・モニタ管理用標準テストパターン(TG-18QC)のグレースケールは 16階調である。
・画像はピクセル(pixel)の集合体である。
・モニタの解像度は 3 M(メガ)の方が 1 M より優れる。
読影端末の画像表示装置に必要な機能
・計測、階調調節
DICOM
・医用画像のフォーマットと通信プロトコルの規格である。
・現在の医用画像モダリティの多くはこの規格に準拠している(ただし「すべて」ではなく、装置や機能によって対応範囲が異なる)。
※超音波などはデジタル対応してきたがDICOM化されたのは最近。
・Digital Imaging and Communications in Medicine の略である。
・Modality Worklist Management(MWM)はその機能の一つである。
・DICOM3.0 は、サービスクラスと呼ばれる複数の機能(保存・検索・印刷など)で成り立っている。
MRIアーチファクトでよくある疑問(Q&A)
Q. 半月板や腱が明るいとき、断裂とマジックアングルはどう見分けますか?
A. 短いTEの画像だけで明るい場合はマジックアングルの可能性があります。TEの長い画像で同じ部位の信号が下がるかを確認します(Peterfy 1994; Peh 1998)。
あわせて読みたい:読影モニターと読影環境、PACS・DICOMとは
あわせて読みたい:CTのアーチファクト
参考文献
- Zhuo J, Gullapalli RP. AAPM/RSNA physics tutorial for residents: MR artifacts, safety, and quality control. Radiographics. 2006;26(1):275-97. PubMed
- Morelli JN, Runge VM, Ai F, et al. An image-based approach to understanding the physics of MR artifacts. Radiographics. 2011;31(3):849-66. PubMed
- Samei E, Badano A, Chakraborty D, et al. Assessment of display performance for medical imaging systems: executive summary of AAPM TG18 report. Med Phys. 2005;32(4):1205-25. PubMed
- Turkington TG. Introduction to PET instrumentation. J Nucl Med Technol. 2001;29(1):4-11. PubMed
- Hargreaves BA, Worters PW, Pauly KB, et al. Metal-induced artifacts in MRI. AJR Am J Roentgenol. 2011;197(3):547-55. PubMed
- Phillips C, Bagley B, McDonald MA, et al. Gibbs or Truncation Artifact on MRI Mimicking Degenerative Cervical Myelopathy. Pain Med. 2022;23(4):857-859. PubMed
- Peterfy CG, Janzen DL, Tirman PF, et al. “Magic-angle” phenomenon: a cause of increased signal in the normal lateral meniscus on short-TE MR images of the knee. AJR Am J Roentgenol. 1994;163(1):149-54. PubMed
- Peh WC, Chan JH. The magic angle phenomenon in tendons: effect of varying the MR echo time. Br J Radiol. 1998;71(841):31-6. PubMed
- Graves MJ, Mitchell DG. Body MRI artifacts in clinical practice: a physicist’s and radiologist’s perspective. J Magn Reson Imaging. 2013;38(2):269-87. PubMed
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