脳梗塞の中でもアテローム血栓性梗塞とはどのような脳梗塞でしょうか?
ややこしいですが、アテローム血栓性梗塞は血栓性、塞栓性、血行力学性にさらに分けられます。
これらの違いについてまとめました。
アテローム血栓性梗塞の分類
実は、アテローム血栓性梗塞には分類があります。
その前に、もう一度脳梗塞の分類を見てみましょう。
脳梗塞の分類
a.発症機序による分類
- 血栓性
- 塞栓性
- 血行力学的
b.臨床カテゴリーによる分類
- アテローム血栓性
- 心原性塞栓
- ラクナ
- その他
心原性塞栓は心臓から血栓が詰まるからわかりやすいですが。
今は、bの臨床カテゴリーによる分類を①〜③まで順番に説明している途中ですが、発生機序による分類もあるんです。
そして、今説明しているアテローム血栓性というのは、このどの機序でも起こるということです。
- 血栓性、
- 塞栓性、
- 血行力学性
のいずれの機序でも起こるということですか?
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アテローム血栓性脳梗塞(塞栓性の場合)
このような動脈のプラークから血栓が飛ぶことを、動脈原性梗塞(artery-to-artery infarction)と呼びます。
アテローム血栓性脳梗塞(血行力学性の場合)
境界領域梗塞ともよばれ、具体的には名前の通り、
- 前大脳動脈(ACA)と中大脳動脈(MCA)
- 中大脳動脈(MCA)と後大脳動脈(PCA)
の境界領域に起こります。
お腹の血管もそうですが、いざというときに端っこというのはつい虚血になりがちです。
ところが限界を超えてしまうと、血流が届かなくなってしまうのです。
特に、起立性低血圧や心原性ショックなどで血圧が低下すると起こりやすくなります。
- MCAとACAの灌流域の分水嶺やMCAとPCAの分水嶺などの表在型
- 大脳深部に生じる深部型
にさらに分類されます。
そして、表在型では塞栓性機序によるもの(artery-to-artery embolism)がかなり含まれています。
つまり、上の図の表在型の境界領域に生じた脳梗塞をみたときには、
- 血行力学性機序によるもの
- 塞栓性機序によるもの
の2つの可能性があるということですか?
その通りです。ですので、MRIの画像だけでは病型を診断できないことも多々あります。
ただし、何も知らないで、「脳梗塞あります!」で終わるのではなく、これらを知った上で、画像を読むようにしましょう。
それでは境界領域梗塞の実際の症例を見てみましょう。
動画で学ぶ境界領域梗塞
※動画の最初の左前頭葉深部白質→右!ですね。
▶キー画像
境界領域梗塞=分水嶺梗塞のまとめ
皮質型分水嶺:皮質枝領域間
・ACAとMCA(前方型)、MCAとPCA(後方型)、ACAとMCAとPCAの境界。
・塞栓性(特にA-to-A)が多い。
深部型分水嶺:穿通枝領域間
・高位放線冠から半卵円中心にかけて:外側線条体動脈と皮質枝の境界。
・血行力学性が多いとされる。
・皮質型よりこちらの方が頻度が高い。