静脈奇形/静脈性血管腫(venous malformation/angioma)
- 動脈は正常で、静脈に特異な構造を有する疾患。
- 胎児期の脳静脈系の発達異常。
- venous angioma、venous malformation、developmental venous anomaly(DVA)、medullary venous malformations(MVM)などの名称がある。venous angiomaが最も有名であるが、最も病態を表しているのは、developmental venous anomaly(DVA)。
- umbrellaあるいはcaput medusaeと呼ばれる放射状の髄質静脈+1本の太い流出静脈を特徴とする。
- 最も多い血管奇形で、2%に見られる。
- 多くは単発で、20-50歳代で発見される事が多い。
- 好発部位は、前頭葉、頭頂葉、小脳。脳室近傍に見られることが多い。
- ほとんどが無症状。まれに頭痛や痙攣、神経巣症状を伴う出血。
- 出血のリスクは0.15%/病変・年。
- 組織学的に、海綿状血管奇形と混在することがある。
- 通常単発ならば無治療。切除術が静脈性梗塞の原因となる事がある。
画像診断
- T2WIでflow voidとして低信号の血管が見られる。ただし血流がかなり遅い場合には高信号になることもある。
- 周囲に出血やグリオーシスが1割程度に見られる。
- 造影MRIで造影されて、特徴的な構造(放射状の細かな静脈が1本の太い静脈に集まる)を認める。
- 還流静脈は硬膜静脈洞、上衣下静脈に流入する。
- 動静脈奇形との鑑別が問題となるが、静脈奇形は拡張した血管は1本で直線的である点で鑑別できることが多い。
動画で学ぶ静脈奇形(70歳代女性)
参考)
- 画像診断ポケットガイド 脳Top100診断 百島祐貴先生
- よくわかる脳MRI 青木 茂樹先生