感染性心内膜炎の頭蓋内病変
以下の4つからなる。
- 脳動脈瘤
- 脳塞栓
- 脳膿瘍、髄膜炎、脳炎
- 出血性合併症
発生機序
心臓の弁に疣贅が形成される。
→一部が飛散する。
→脳血管を塞栓する。
→周囲の血管へ感染が拡大する(血管炎)。
※この際、塞栓栓子は小さいため、末梢の血管領域で閉塞しやすい。感染性脳動脈瘤もこの領域に好発する。
→脳動脈瘤が形成される。
(→一部の動脈瘤が破裂する。)
→血管炎が、髄膜を介して波及する。
→髄膜炎、脳炎、出血を引き起こす。
①脳動脈瘤
- 細菌性脳動脈瘤を形成する。
- 細菌性脳動脈瘤の2割程度は、感染性心内膜炎が原因。他は、骨髄炎、髄膜炎など。
- MCA領域に多い。末梢血管領域分岐部に好発する。
②脳塞栓
- 感染性心内膜炎の頭蓋内合併症で最多。1割程度に見られる。
- 心臓の弁に形成された疣贅もしくは、血栓が塞栓栓子となる。
- 心原性塞栓であるために、多血管領域に多発性に梗塞をきたす。出血性変化を伴った新鮮梗塞となり、SWIで信号低下を示す。
- 特にMCA領域に多い。
- 多くは微細な梗塞巣を形成する。ただし、主幹動脈に起こることもある。
③脳膿瘍、髄膜炎、脳炎
- 脳膿瘍は比較的まれ。5%程度。
- 脳膿瘍を見たら、感染性心内膜炎を疑って精査する。
④出血性合併症
- 感染性動脈瘤の破裂により発生する。
- 脳内出血、くも膜下出血>>硬膜下出血に分けられる。
参考)
- 臨床放射線53:761-768、2008 心内膜炎、感染性塞栓症における頭蓋内病変とその臨床意義 亀田総合病院 東麻子先生
- 感染性心内膜炎(infectious endocarditis: IE)に伴う多発脳梗塞