cysticercosis(嚢虫症)
・近年増加傾向にある輸入感染症。
・有鉤条虫の幼虫寄生により生じる。中枢神経系の寄生虫感染症としては最も多い。
・頭蓋内に好発するが、脊髄に発生することもある。
・小腸で成虫となり、便に虫卵が排池→虫卵で汚染された食物や水を摂取→虫卵は胃内で一次幼生となり、これが血行性に消化管粘膜、筋肉、皮下軟部組織、特に中枢神経系に好んで感染。
中枢神経への感染
[deco_bg image=”marker-b” width=””]・幼虫が脳実質を侵す実質型:痙攣発作、神経巣症状
・上衣脈絡叢に感染する脳室型:閉塞性水頭症
・髄膜を侵すクモ膜下型:交通性水頭症[/deco_bg]
画像所見
・感染の時期によって異なる。
・脳感染の初期:幼虫の感染巣は、CTで低吸収、T2強調像で高信号を示す小さな浮腫性病変として認められる。
・好発部位は脳槽>脳実質>脳室。
・嚢虫が成長すると、内部に頭節を有する数ミリ〜数センチの嚢胞が形成される。周囲には浮腫あり。T2 強調像では境界明瞭な輪状病変の中に頭節(protoscolex)を示唆する低信号を示す。
・嚢虫が死亡すると、周囲の脳実質に強い炎症性変化が認められ、高度の浮腫が認められるようになる。痙攣、神経巣症状などが最も多く認められるのは、この時期である。リング状の造影効果を認める。
・感染後数年を経ると、嚢腫は縮小して、石灰化を認めるようになる。石灰化すると造影効果は消失するが、一部で認めるという報告もあり。
脳室内、中脳水道、Magendie ・Luschka孔の閉塞による二次性の閉塞性水頭症の原因
・Abscess
・Arachnoidcyst
・BasaIarachnoiditis
・CoIIoidcyst
・CongenitaI aqueductaI stenosis
・Cysticercosis
・Dandy-WaIkersyndrome
・Hematoma
・NeopIasm
造影される多発結節の鑑別
・転移性脳腫瘍
・原発性中枢神経系リンパ腫
・播種性感染症(Tb、嚢虫症、クリプトコッカスなど)
・炎症性疾患(多発性硬化症、サルコイドーシスなど)
脳内多発石灰化をきたす寄生虫疾患
・有鉤嚢虫症
・肺吸虫症
・日本住血吸虫症
・包虫症