嫌色素性腎細胞癌(Chromophobe RCC)
- 3番目に多い腎細胞癌。成人腎癌の5-10%。
- 肉眼的にはベージュ色。
- 腫瘍細胞は充実性配列を示し、類洞状血管を欠く。大型、混濁した細胞質を有する腫瘍細胞からなる。腫瘍細胞が嫌色素性を呈するのが特徴。
嫌色素性とはこのように、色が乗りにくい。赤も紫も乗りにくい。だから嫌色素性と呼ばれます。
- 腫瘍の境界は明瞭。
- 腫瘍は軟らかいことが多い。
- 腫瘍内は血管が乏しい。
- 瘢痕形成(線維化)、嚢胞状変化を認めることはまれ。
- 淡明細胞型よりも予後が良い。乳頭型と同等もしくはそれ以上に良好とも言われる。
- 周囲への浸潤や転移も少ないため、部分切除や摘出術も可能である。稀にaggressiveな発育をするsarcomatoid variantが見られ、予後不良である。
- 染色体の欠失はnon-random:1,6,10,13,17,21に多い。責任遺伝子はきちんとわかっていない。
- 血管密度が淡明細胞型腎細胞癌に比べてかなり少ない。
- 嫌色素性腎細胞癌の核異型はFGをそのまま適応できない。予後予測因子にならない。(Mescawi et al. Modern Pathol,2013)
嫌色素性腎細胞癌の画像所見
- 均一。
- 乏血性であることが多い(<100HU)が比較的多血性のものもありうる。中等度の濃染。淡明型>嫌色素性>乳頭状の順に染まる。
- in-out phaseで信号低下はなし。
- 偽被膜あり。
- 乏血性のものには oncocytomaに類似した車軸様血管を持つものもあるとされる。
- 一方、多血性のものでも、通常の淡明細胞型腎癌よりは血流が低いことが多いが、なかには両者の区別が困難な場合もある。
- また、乳頭状腎細胞癌との鑑別も困難であるが、予後や治療方針が類似するため、両者を鑑別する意義は乏しい。