淡明細胞型腎細胞癌(Clear Cell Renal Cell Carcinoma)

  • 最も多い腎細胞癌(成人腎癌の7割)。
  • 肉眼的には鮮やかな黄色(サッカーのブラジルのような色!?)
  • 組織学的にはグリコーゲンが豊富なので明るい抜けた細胞。類洞上の毛細血管が細胞の間に集まるので多血性になる。

淡明細胞癌

このように白っぽいので淡明だということで、淡明細胞癌という名前になったんですね。
  • 腫瘍内は血管に富む。(血管内皮を染めるCD34で非常によく染まる。これと同じくらい染まるのは、膵NETなど内分泌腫瘍とこの淡明細胞癌くらい)
  • 腫瘍は大きいほど多様性に富む。(淡明型腎細胞癌の大きな特徴!!)
  • 大型病変では腫瘍内に瘢痕形成(線維化)、嚢胞状変化を来す事が多い。
  • しばしば腫瘍内に出血を認めるが、予後とは関係ない
    ※他の臓器とは異なるところ。ただし、壊死は関係する。
  • 腎癌の場合静脈侵襲が見られたら、肺転移の可能性を疑う。

淡明型腎細胞癌の画像所見

  • 壊死、嚢胞、出血により不均一(75%)。
  • 著明な造影効果(>100HU)およびwash out。これがあれば、淡明細胞癌と決めうちしてよい。oncocytomaが似ることがあるが稀。(oncocytomaはchemical shift imagingで低信号にならない)
  • 細胞質に脂質を含むため, chemical shift imagingのopposed-phaseでは信号低下が見られることがある。
  • T2WIで等〜高信号。T2WIで低信号の偽被膜(7割)
    淡明型腎細胞癌の造影効果
  • 一般に小腎細胞癌(注:通常径が3 cm以下の腫瘍)は辺縁平滑、内部は比較的均一である。腫瘍径が大きくなるに従い、辺縁不整、内部構造が不均一で、嚢胞状になることもある。

症例 60歳代男性

ダイナミックCTにおいて、左腎臓に早期濃染され、平衡相でwashoutされる腫瘤あり。

MRIではT2強調像で低信号の偽被膜あり。

手術の結果、淡明細胞型(clear cell)腎細胞癌と診断されました。

症例50歳代男性

ダイナミックCTにおいて、左腎臓に早期濃染され、平衡相でwashoutされる腫瘤あり。

手術の結果、淡明細胞型(clear cell)腎細胞癌と診断されました。

その他

  • 癌抑制遺伝子VHL:散発性淡明細胞癌の半数に変異あり。
  • VHL病患者の腎では、多発する嚢胞と小型腎癌を認める。組織では腫瘍以外に異型腺管の増殖を認める。
  • VHL蛋白(pVHL)の機能:他蛋白とユビキチンリガーゼ複合体を形成。正常酸素分圧時に低酸素反応誘導のための転写因子HIFを分解。余分な低酸素反応を進めない機能。これが障害されると低酸素誘導遺伝子転写亢進→淡明細胞腎癌の形成。
  • 多房嚢胞性腎細胞癌:嚢胞の壁を淡明細胞癌が存在。予後良好。淡明細胞癌の亜型
  • VHL関連腫瘍の共通点:淡明細胞型腎細胞癌、中枢神経系血管芽腫、精巣上体乳頭状嚢胞腺腫はいずれも似た病理組織。

ご案内

腹部画像診断を学べる無料コンテンツ

4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。

胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ

1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。

画像診断LINE公式アカウント

画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。