子宮平滑筋肉腫
- 子宮平滑筋腫瘍の0.1〜0.3%と稀な腫瘍である。
- 子宮肉腫の1/3を占める。
- 40歳以上に多い。中央値は50-55歳。
- 症状は不正性器出血、骨盤内腫瘤触知、骨盤痛と非特異的。
- 閉経女性の腫瘍増大は筋腫との鑑別ポイント。
- LDHが高値になる事が多い。(70%、特にisozime3)
- 病理組織学的には細胞異型と凝固壊死、核分裂が診断基準となる。特に凝固壊死は悪性を示唆する重要な所見と言われる。
- MRIでは、浸潤性発育を示す不明瞭な境界、出血、壊死を示す増強不良域が肉腫を考える所見として挙げられる。
- ただし、良性の平滑筋腫にも壊死(妊娠時やホ ルモン治療時など)が出現することはあり、さらに高度の変性により増強不良となることもある。
- 治療は単純子宮全摘術+両側付属器切除。エビデンスのある術後補助療法はなし。
- 予後は再発率53-71%。肺転移>骨盤内再発。
- 5年生存率はstageⅠでは51%。stageⅢでは25%。
子宮平滑筋肉腫の画像所見
▶MRI所見(3つ)
- ①T2強調像にて50%以上の高信号(細胞密度高い、壊死・変性)
- ②脂肪抑制T1強調像にてわずかでも高信号(亜急性期〜慢性期の出血を反映)
- ③造影不良域(出血壊死を示唆)
その他重要所見:
- 拡散強調像での高信号。
- 周囲組織への浸潤。
- 単発、大きい(5cm以上)
- 境界不明瞭、内部不均一。
- ダイナミックMRIにて早期(20-40-60s位)より造影効果あり。
- 転移や播種。
- 出血の検出にT2*強調像が有用との報告あり。
- ADCは正常子宮内膜および変性子宮筋腫と比較して低値。ただしオーバーラップすることがある。
▶動画による子宮平滑筋肉腫の画像診断(70代女性)
鑑別で最も問題になるのが、子宮筋腫です。鑑別は非常に難しいですが、圧倒的に子宮筋腫が多いのだから、安易に平滑筋肉腫と診断せずに、明らかでなければ、変性子宮筋腫としてclosed followを勧めるのがよいです。
平滑筋肉腫の術前での画像所見は出血・壊死像など多彩であり、診断は困難なこともありますが、年齢や血液検査所見なども考慮し、総合的に判断し、術前に平滑筋肉腫の可能性を念頭におくことが重要であると思われます。