大動脈解離の可能性を上げる情報
- 胸痛の性状:突然発症の胸痛 LR+1.6、引き裂かれる痛み 10.8、移動する痛み 7.6
- 既往歴:高血圧 1.6
- 身体所見:脈拍欠損・左右差 (20mmHg以上の差)LR+5.7、拡張期雑音 1.4、胸痛+神経欠落所見 6.6
- X線検査:X線での縦隔の拡大 2
大動脈解離の存在の有無は?
以下の3つ当てはまれば100%、2つ以上なら83%で大動脈解離と診断できる。
- 裂けるような痛み
- 痛みの移動
- 胸部X線で上縦隔拡大
→確定診断は造影CT!!
※脈の欠如、脈の強さの左右差、血圧の左右差は特異度が高い(LR:尤度比5.7)
※心タンポナーデ合併を見逃すな。
※Dダイマーは感度が高く、除外診断には使えるかも。
大動脈解離への処置
・上行大動脈が裂けている→Stanford A型→心外コンサルト
・そうでない→Stanford B型→循内で保存的治療
※救急での大動脈解離の加療は疼痛管理・血圧脈拍管理が中心
■血圧コントロール
ペルジピン®持続点滴(5~15mg/時、0.5~6μg/kg/min)+インデラル®静注((2mg/A) 1mgずつ、最大0.15mg/kg)で血圧100~120mmHg、脈60~80/分まで下げる。
※ペルジピン 1/2A ivを繰り返すという大雑把なものでもOK。
※ペルジピンの代わりに、ヘルベッサ-®1~15μg/kg/min ミリスロール® 0.1~5μg/kg/min(原液2~3ml/h)でもOK。
■疼痛コントロール (①か②)
①塩酸モルヒネ®(10mg/1ml/A) 2mg(0.2ml)静注 計5~10mg※ツベルクリン用1mlシリンジを用いる。or フェンタニル®0.25mg/5ml持続投与
②ペンタジン®0.2mg(0.5~1A) ゆっくり静注
急変したら・・・心タンポナーデを疑い迅速にエコー→心嚢穿刺の準備(IVH用の穿刺針でもOK)。