粘液嚢胞・粘液瘤(mucocele)
- 副鼻腔の鼻腔への自然口の炎症性閉塞(時に外傷後、腫瘍性が原因となる。)→粘膜で被覆された粘液を含む嚢胞
- 一般に慢性副鼻腔炎の合併症として生じる。
- 粘液膿瘤、粘液瘤(pyocele)とも呼ばれる。
- 経過は長く、数か月から年余に及ぶ。
- 貯留嚢胞と異なり、罹患した洞内には残存する空気の層は認められない。完全に洞が充満されるのが特徴。
- ただし、内部は粘液成分の貯留嚢胞が主体。
- 多くは前頭洞(約2/3)、ついで篩骨洞に発生する。上顎洞は10%程度。蝶形骨洞は最も少ない。
- 骨壁の膨隆を認めるが、骨膜は保たれる。
- 感染を合併すると粘液膿瘤(pyocele)になる。
- 前頭洞、前部篩骨洞では、眼瞼腫脹、眼球突出、複視、眼痛などを引き起こす。前頭篩骨洞の病変が眼窩内側を圧排することが最も多い。
- 後部篩骨洞や蝶形骨洞では眼窩尖端症候群の原因にもなる。
- 無症状の場合は、通常経過観察となる。
粘液嚢胞・粘液瘤の画像所見
▶CT、MR所見
- CTでは造影効果のない膨張性嚢胞性腫瘤。類円形を呈する。
- ときに骨圧迫性侵食を伴う。
- MRIでは、T1Wlで高信号が多いが、T1/T2WIとも蛋白濃度の変化にともない様々な信号を呈する。造影すると辺縁部のみに増強効果を呈することがある。
- 時に真菌性副鼻腔炎や洞粘膜肥厚のみの症例に類似。
症例 80歳代 男性
CTで篩骨洞から前頭洞にかけて左優位に膨張性嚢胞性腫瘤あり。
MRIではT2強調像で淡い低信号、MRA元画像では高信号を示しています。
淡白濃度の高い粘液嚢胞(粘液瘤)を疑う所見です。
症例 60歳代男性
右の上顎洞から突出する膨張性嚢胞性腫瘤あり。
粘液嚢胞(粘液瘤)を疑う所見です。