悩ましい肺結節の経時的フォローについて低線量CTによる肺がん検診 肺結節の判定と経過観察 第5版(日本CT検診学会)を参照にまとめました。
検診施設での初回検診で引っかける肺結節
まず検診施設での初回検診で引っかける肺結節は
- 6mm以上の肺結節
- 肺癌を強く疑う結節
- 新たな肺結節の出現
です。
その後、検診施設から精密医療機関に紹介されて、精査や診断するという流れになります。
このうち、後者2つ(肺癌を強く疑う結節、新たな肺結節の出現)の場合は、臨機応変に精査や診断されますが、6mm以上の肺結節については、3ヶ月後に精密医療機関でthin slice(できたら1mm)のCTで再検されます。
6mm以上の肺結節を拾い上げて3ヶ月後に再検をしますが、その際に結節内部の性状を3つに分けてそれぞれ見ていく必要があります。
6mm以上の肺結節を内部の性状により3つに分類する。
その3つとは、
- 内部が充実成分のみ(solid nodule)
- 内部が充実成分+すりガラス影(part-solid nodule)
- 内部がすりガラス影のみ(pure GGN)
の3つです。
ところですりガラス影とは
肺の血管が見える程度の吸収値の増大(白さ)
を言います。充実成分の場合は肺野の血管が見えない程度の吸収値が増大します。
では、3つそれぞれ見ていきましょう。
内部が充実成分のみ(solid nodule)の場合
結節の内部が充実成分のみの場合、
- 結節の大きさ(最大径)が6mm以上10mm未満
→ 経過観察(フォロー)を行う。
1,喫煙者の場合:3,6,12,18,24ヶ月後
2,非喫煙者の場合:3,12,24ヶ月後 - 結節の大きさが10mm以上
→原則として確定診断(生検、手術)を行う。
とサイズで分類されます。
経過観察(フォロー)中に、最大径で2mm以上の増大があれば確定診断を行います。
縮小や消失の場合は、検診機関での検診CTに戻します。
内部が充実成分+すりガラス影(part-solid nodule)の場合
内部が充実成分+すりガラス影の場合、
- 結節の大きさ(最大径)が15mm以上
→原則として確定診断(生検、手術)を行う。 - 結節の大きさ(最大径)が15mm未満でかつ、充実部位の最大径が肺野条件で
5mm以上→確定診断を行う。
5mm未満→経過観察を行う。
とサイズで分類されます。
※ただし、5mm以上か未満かで分けることにエビデンスが十分ではなく治療方針は施設によると記載があります。つまり、充実部位が5mm未満であっても手術されるケースは多々あるということです。
症例 70歳代女性
右下葉にpart-solid nodule(mixed type GGN)を認めています。腫瘍の最大径は2.78cmで、充実部位は1.2cm大です。
結節の大きさ(最大径)が15mm未満でかつ、充実部位の最大径が肺野条件で5mm以上ですので、確定診断を行うことになります。
手術にて肺腺癌(腺房型)と診断されました。
内部がすりガラス影のみ(pure GGN)の場合
最後に内部がすりガラス影のみの場合です。
- 結節の大きさ(最大径)が15mm以上のまま
→確定診断(生検、手術)を行う。 - 結節の大きさ(最大径)が15mm未満
→3,12,24ヶ月後、経過観察を行う。
とサイズで分類されます。
※ 24ヶ月後不変であってもその後も年に1回の経過観察は必要です。緩徐に発育する肺腺癌があるためです。
以上の点を動画にまとめました。
参考)