先に結論:白血病・悪性リンパ腫の肺浸潤

  • 肺浸潤とは、白血病やリンパ腫の細胞が肺の組織に入り込んで広がることです。気管支・血管周囲のリンパ路(気管支血管束)と小葉間隔壁に沿って広がります
  • CTでは気管支血管束・小葉間隔壁の肥厚、すりガラス影、結節・腫瘤が見られ、リンパ腫の肺病変は多彩です
  • 白血病の患者のすりガラス影は出血・浮腫・肺胞傷害でも生じるため、経過と検査を合わせて判断します

白血病・悪性リンパ腫の肺浸潤

  • 気管支・肺血管周囲のリンパ路に沿って浸潤。
  • 白血病浸潤:肺胞腔内、肺胞壁にも浸潤。
  • 悪性リンパ腫:リンパ節腫大、肺野の結節。

画像所見

▶CT所見:

  • 気管支血管束(BVB)/小葉間隔壁の肥厚。
  • 肺野のすりガラス影、結節および腫瘤形成。

「肺浸潤」と「浸潤影」の違い

肺浸潤は腫瘍細胞が肺の組織に入り込む病気の状態、浸潤影(consolidation)は肺胞の空気が液体や細胞に置き換わり、血管の輪郭が見えなくなる白い影という画像所見の言葉です。血管が透けて見える淡い影はすりガラス影と呼びます(Hansellら 2008)。浸潤影は肺炎などでも見られ、それだけで肺浸潤や肺がんとは決まりません。

白血病の肺浸潤のCT所見

白血病の肺浸潤を病理と対比したCTの検討(浸潤例11例)では、気管支血管束の肥厚(81.8%)、末梢肺動脈の目立ち(81.8%)、小葉・区域に一致しないすりガラス影(90.9%)が多く見られた。このうち気管支血管束の肥厚と末梢肺動脈の目立ちは、他の肺病変をもつ白血病患者より有意に多く、肺動脈・気管支周囲への白血病細胞の浸潤に対応していた。

悪性リンパ腫の肺病変のCT所見

肺のリンパ腫には、肺だけに起こる原発性(多くはMALTリンパ腫)と、全身のリンパ腫が広がる二次性があり、結節・腫瘤、浸潤影、網状影、散在する小結節などを示します(Jeongら 2025)。

  • リンパ腫がすでにわかっている患者では、心膜液貯留、軽度でも胸膜の軟部影、腫瘤状の浸潤影、リンパ路に沿った結節、新たな溶骨性骨病変が、二次性の病変を強く示唆する。
  • 改善しない浸潤影、浸潤性の軟部腫瘤、血管を取り囲むが浸潤しない病変も、リンパ腫を疑う手がかりになる。免疫不全・自己免疫疾患・造血幹細胞移植や臓器移植後の患者では特に注意する。
  • リンパ腫の病期診断は、多くの場合FDG-PET/CTが推奨されている。

症例 60歳代女性(マントル細胞リンパ腫の肺のリンパ行性進展)

悪性リンパ腫 肺浸潤 胸部CT
引用:Radiopaedia(Secondary pulmonary lymphoma)

胃のマントル細胞リンパ腫の化学療法後に発熱・汎血球減少で受診した症例の胸部CTです。小葉間隔壁の肥厚が広がり、左下葉のすりガラス影はcrazy-paving patternに変化しています。経気管支生検で、リンパ腫によるリンパ行性の広がり(癌性リンパ管症の形)と確認されました。

読影の落とし穴

白血病患者のすりガラス影は、白血病細胞の浸潤だけでなく、出血・浮腫・びまん性肺胞傷害でも生じることが病理対比で示されている。すりガラス影だけで浸潤と判断せず、気管支血管束の肥厚や末梢肺動脈の目立ちの有無を確認する。真菌感染症が疑われたが、生検で白血病の肺浸潤だった報告もあります(Kimら 2024)。

よくある疑問(Q&A)

Q. リンパ腫の肺病変は画像だけで診断できますか?
A. ほかの病気と見た目が重なるため画像だけでは難しく、確定には組織の検査が必要です(Blighら 2017)。

咳・発熱・息切れが続く場合は医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Tanaka N, Matsumoto T, Miura G, et al. CT findings of leukemic pulmonary infiltration with pathologic correlation. Eur Radiol. 2002;12(1):166-74. PubMed
  2. Bligh MP, Borgaonkar JN, Burrell SC, et al. Spectrum of CT Findings in Thoracic Extranodal Non-Hodgkin Lymphoma. Radiographics. 2017;37(2):439-461. PubMed
  3. Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
  4. Jeong YJ, Han J, Cho J, et al. Imaging of Pulmonary Malignant Lymphoproliferative Disorders. Semin Ultrasound CT MR. 2025;46(4):301-316. PubMed
  5. Kim DK, Chung C, Park D. Diagnosis of leukemic lung infiltration mimicking fungal infection by transbronchial lung cryobiopsy: the first case report. BMC Pulm Med. 2024;24(1):494. PubMed

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