類上皮嚢胞(epidermoid cyst)とは?
- 類表皮嚢胞は重層扁平上皮により形成される良性の真性嚢胞で、皮膚付属器をもたない上皮により形成されたもの。
- 膵に迷入した脾組織や副脾より発生する。なので尾部に多く、嚢胞壁や周囲に脾組織を認める。
- 副脾の好発部位である膵尾部に多い。
- 通常は無症状であるがときに腹痛や背部痛などがみられる。
- 男女差はなし。
- CA19-9、CEA高値例が多い。
- 内溶液:槳液性、ケラチン様物質
膵類上皮嚢胞の画像所見は?
- 充実成分を伴い隔壁様構造を有する境界明瞭な単房性・多房性嚢胞性病変であるが、充実性部分が副脾と断定できるかが診断のポイントとなる。
- 異所性脾組織の診断には、99mTc標識スズコロイドを用いた肝脾シンチグラフィーやSPIO造影MRIが有用とされる。確定診断により有用なのはSPIO造影MRI。造影MRIで脾臓と同程度のSPIOの取り込みがある。
- MRIにてT1WIでhigh、DWIでhigh。
膵内副脾とは?膵類上皮嚢胞との関係は?
- 膵内副脾とは、副脾が膵臓内に迷入したもの。
- 脾臓に近い膵尾部に多い。
- 大部分は無症状で治療の必要もない。
- ダイナミックCTやMRI撮影において脾臓と同程度の造影パターンを示すのがポイント。
- MRIにおいてもT1強調像及びT2強調像で膵臓と同程度の信号強度を示す。
- 多血性腫瘤のパターンとなるため、膵内分泌腫瘍などとの鑑別が問題となることがある。
- その場合、SPIOの造影剤を利用することでT2強調像で脾臓と同程度の低信号を示すことを確認して膵内副脾であることを診断することもある。これは、SPIOは投与後、主として肝臓、脾臓に存在するクッパー細胞に特異的に取り込まれるためである。
- この膵内副脾内に上に述べた膵類上皮嚢胞(epidermoid cyst)が発生することがある。
症例 70歳代男性
膵尾部にダイナミックCTにおいて膵臓と同じ造影パターンを示す結節あり。
膵内副脾の疑い。